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スマイルが宝物!

2022/09/26 13:00

清掃人。 第三十一回

阿部直美(42歳)、飯塚沙織(26歳) 株式会社東海ビルメンテナス

2022.9.26 13:00 更新

撮影=立木義浩 文=内野一郎
撮影場所=丸ノ内ホテル(東京都千代田区)

東海ビルメンテナスの
二人に会った。
指定された場所は、
東京駅丸の内口前に建つ丸ノ内ホテル。
エレベーターで上層階に昇ると、
同社のアジア系スタッフ男性が
笑顔で待っていて、
客室ゲートを開錠し招き入れてくれた。
案内された部屋は高所の角部屋で、
窓から東京駅の美しい造形の屋根が見下ろせる。
気持ちの良い部屋ですねと伝えると、
二人が嬉しそうに微笑んだ。
一人はバイザーの阿部直美さん(写真右)。
もう一人は若手の飯塚沙織さん(写真左)だ。
バイザーの意味が
一瞬理解できず尋ねると、
「アドバイザーのことですよ」
と阿部さん。
筆者とのそのやりとりが面白かったらしく、
飯塚さんが笑う。
2人とも終始にこやかだ。
ホテル関係の仕事に就いていた阿部さんが
ビルメンテナンスの世界に入って約4年。
今は人を育てることが、とにかく楽しいと話す。
「フィリピン、ベトナム、ネパール、
さまざまな国の若者が
この仕事に就いてくれています。
皆、一生懸命。
可愛くて仕方ありません」
それを聞いて飯塚さんが、
はにかんだように微笑む。
その飯塚さんは、
フィリピンの大学を卒業してから
来日したのだと教えてくれた。
宿泊客の居ない空間で
黙々と仕事をこなすことの多い
ベッドメイク業務。
しかしそれをこなす
スタッフ一人一人に宿る
屈託のない笑顔があればこそ、
ホテルの美しさは保たれ、
さらに輝く。
あなたたちの笑顔が
みんなを幸せにしてくれる。
Your smile makes everyone happy!
2人の笑顔も
ホテルの宝物だと感じた。

立木義浩(たつき・よしひろ)/1937年、徳島県・徳島市の写真館に生まれる。1965年『カメラ毎日』で掲載された『舌出し天使』が話題となり、一躍世間の注目を集める。女性写真の分野を中心に、多く著名人を撮影。 同時に世界中でスナップ写真を日常的に撮り続け、多くの作品を世に送り出す。主な受賞歴に、日本写真批評家協会新人賞(1965年)、日本写真協会賞年度賞(1997年)、 日本写真協会賞作家賞(2010年)、文化庁長官表彰(2014年)など。