代務は、人との繋がりが命。

清掃人。 第三十回

寺田圭一(44歳) 株式会社互幸ワークス

2022.8.19 15:00 更新

撮影=立木義浩 文=内野一郎
撮影場所=株式会社互幸ワークス社内(神奈川県川崎市)

人生は一日一日、状況が一変する。
昨夜まで計画通りに進んでいたことが、
寝て起き、準備を整え会社に着いてみたら、
予定外の出来事が起こっていて
すぐさま計画を練り直さねばならない。
そんな経験は、誰しもきっとあるだろう。
さまざまな人間を集め
現場対応しなければならない清掃の仕事にも、
常に予定外の出来事が発生する。
最たるものが、現場スタッフの急な欠員。
寺田さんはその予定外欠員に対応するため
互幸ワークスが独自に組織した、
「代務」グループのリーダーを務めている。
「何の前触れもなく、ある日突然急に、仕事を辞める。
そんな人もいるのです。
でも、清掃現場に穴を開けるわけにはいきません。
そのために代務グループのメンバーが、
マンション、ビルなどさまざまな物件を
毎日のように移動しながら、
代わりに業務を遂行します」
所属メンバーは約10名。
営業グループからの依頼を受け、
日々活動している。
「代務を進める上で最も重要な点は、
“人と性格”を見ることだと思っています。
なぜなら我々は
日常清掃の通常チームから見れば、
我々のほうが予定外の参加者なのです。
物件ごと現場ごとチームごとに
ルールや約束事、それまでに作られてきた
雰囲気があります。
そこに溶け込み、
チームの調和を保ちながら
欠員者以上の結果を提供しなければなりません」
現在、特定技能で来日している
ミャンマーの女性スタッフがおり、
異なる現場、チームに配属される
ピンチヒッター業務に、
当初はなかなか馴染めなかったようだ。
「ところが最近、
彼女がみるみる変わりはじめて、
人に対する気遣いが増え、
臨機応変な対応力が格段と成長してきました。
時間をかけて教え、
スタッフの人間力が育っていく喜び。
リーダー冥利に尽きます。
代務は、人との繋がりこそ命だと思います」

立木義浩(たつき・よしひろ)/1937年、徳島県・徳島市の写真館に生まれる。1965年『カメラ毎日』で掲載された『舌出し天使』が話題となり、一躍世間の注目を集める。女性写真の分野を中心に、多く著名人を撮影。 同時に世界中でスナップ写真を日常的に撮り続け、多くの作品を世に送り出す。主な受賞歴に、日本写真批評家協会新人賞(1965年)、日本写真協会賞年度賞(1997年)、 日本写真協会賞作家賞(2010年)、文化庁長官表彰(2014年)など。