世界一の大仏様と、自分でなければ、できない清掃。

清掃人。 第二十回

田口和幸(51才) 株式会社エム・ビー・シー

12:00 更新

撮影場所=牛久大仏(茨城県牛久市)文=内野一郎

像高100メートル、全高120メートル。
青銅の大仏像として世界一と
ギネス世界記録に登録されている
茨城県の牛久大仏。
年に一度行うその清掃に携わって、
はや15年の月日が流れている。
この道に入ったのは
清掃業をしていた父の影響が大きい。
16歳くらいからアルバイトで
清掃の手伝いをさせてもらったことがきっかけで
地元茨城で働き始め、
床、ガラス、高所作業と経験を積んでいった。
牛久の大仏様は、
浄土真宗東本願寺派 本山東本願寺が
同派本尊の阿弥陀如来像を具現化したもの。
その巨大さは、
あの奈良の大仏様が手の平に乗り、
アメリカの自由の女神像の
2倍半もの威容を誇る。
青銅という素材は長い年月の中で
自然の緑青を纏っていき、
深味のある独特の色に変わっていく。
そのため清掃を行う際には、
決して「きれい」にしてはいけない。
高圧洗浄機、ブラシを使って
丹念に鳥たちの排泄物を取り除くことが中心だ。
ビルと異なり平面の無い仏像の形状は、
高所ということもあり困難さを伴う。
若い頃は仲間たちとの競争意識で
高所作業を一番早く仕上げたいという気持ちに
駆られたこともあるが、
今は慌てず、落ち着いて、
安全に行うことを第一にしている。
大仏様の頭頂部に登り、
螺髪の上から見渡す
富士山、東京タワー、スカイツリー。
その光景は、得も言われぬ絶景だ。

立木義浩(たつき・よしひろ)/1937年、徳島県・徳島市の写真館に生まれる。1965年『カメラ毎日』で掲載された『舌出し天使』が話題となり、一躍世間の注目を集める。女性写真の分野を中心に、多く著名人を撮影。 同時に世界中でスナップ写真を日常的に撮り続け、多くの作品を世に送り出す。主な受賞歴に、日本写真批評家協会新人賞(1965年)、日本写真協会賞年度賞(1997年)、 日本写真協会賞作家賞(2010年)、文化庁長官表彰(2014年)など。