

CASE92 マンション清掃中、住民の飼っている犬に噛まれる!―労災保険 第三者行為災害について―

【事故エピソード】
マンション外周清掃を終えて、駐車場、自転車置き場付近の清掃に取り掛かったA子さん(58歳、勤務歴3カ月)。その時、足洗い場では、愛犬と散歩から帰ってきたBさんが犬の手入れをしていました。
A子さんはBさんに挨拶しながら、付近をホウキで履き始めました。片手に持ったちり取りが何かの角に当たり、少し大きな音を立てました。すると、その音に反応して、Bさんの犬がA子さんに飛び掛かってきました。あわてて犬を避けようとしたA子さん、右手を犬に噛まれてしまいました。
事故後すぐに、Bさんに近くの病院に連れて行ってもらったA子さん。傷口は意外に深く、病院で縫合手術とウイルス感染予防のため抗生剤の処方を受けました。仕事は1週間ほど休むことになりました。なお、当日の治療費はBさんが支払いました。
[1]第三者行為災害とは
業務中や通勤中に、第三者の行為によって引き起こされた労働災害のことを「第三者行為災害」と言います。被災者に対して、加害者である第三者が損害賠償の義務を負うことになります。
主な第三者行為災害は以下の3つです。
①交通事故(自損事故を除く)
②他人(顧客や通行人など)から暴行を受けた場合
③他人が飼育・管理する動物により負傷した場合
今回の事例は、③に当りますが、民法第718条では、動物の占有者等の責任を以下のように規定しています。
「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をしたときは、この限りではない。」
つまり、飛びかからないようにリードをしっかりと結んでおく、掴んでおくなど十分な管理・対策をしていない場合、Bさんは責任を免れないことになります。
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