「感謝、感謝」が、私の原動力。

清掃人。 第二十五回

松村文雄(83歳) 株式会社リンレイサービス

2022.3.25 18:00 更新

撮影=立木義浩 文=内野一郎
撮影場所=リンレイ本社ビル(東京都中央区)

毎朝3時に朝食をいただく。
この習慣は今でも変わらない。
ごはん、納豆、味噌汁。
妻が旅立ってからは、
毎日ほぼ同じ献立を
自分で用意している。
やがて家を出て
電車に乗り、
乗り継ぐ新宿の始発が5時。
それに乗ると
5時15分に銀座。
三越から歩いて5時20分には、
リンレイ本社ビルに到着できる。
中学を卒業して山梨県から上京し、
製パン業を営んでいる東京の叔父のもとで
40年間パン職人として働いてきた。
日の昇る前に目を醒し、食事をして、
さあ今日もやるぞ! と仕事に向かう。
このリズムはしっかり体に沁み込んでいる。
パンの道から清掃の道へ
歩みを変えたのは60歳のころだ。
友人の紹介だった。
良い仕事を教えてもらったと感謝している。
それから20年間、
このオフィスビルで朝の数時間、
清掃の仕事に携わらせていただいて来た。
清掃資機材メーカーの本社ビルゆえ
最新機器を使うことも多く、
新しい知識を教えていただける。
オフィス什器などに除菌消臭剤を噴霧する
このイースプレーなどは、
コロナの時代ならではの便利な道具だ。
それにしても
体調の悪い時、休むことになった時など、
リンレイ本社の方たちに
私の清掃仕事をサポートまでしてもらえるとは
夢にも思わなかったし、感動した。
これまで何とかかんとかやって来られたのは、
そんな皆さまに良くしていただいてきたからだ。
感謝、感謝。
そして昔も今も、
さっさと動きつづけてくれるこの体にも、
感謝、感謝。

立木義浩(たつき・よしひろ)/1937年、徳島県・徳島市の写真館に生まれる。1965年『カメラ毎日』で掲載された『舌出し天使』が話題となり、一躍世間の注目を集める。女性写真の分野を中心に、多く著名人を撮影。 同時に世界中でスナップ写真を日常的に撮り続け、多くの作品を世に送り出す。主な受賞歴に、日本写真批評家協会新人賞(1965年)、日本写真協会賞年度賞(1997年)、 日本写真協会賞作家賞(2010年)、文化庁長官表彰(2014年)など。