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CASE76 自分の判断で作業を追加し、階段から転落! ―「毎日同じ作業だから」と作業計画は作らなかったために―

2024/03/25 16:00

【事故エピソード】

市民ホールの清掃業務を請け負っているX社、現場の責任者Aさんは、昨夜大きなイベントが開催されたためこの日はいつもより30分早めに朝7時半から4人で清掃作業を開始しました。2時間ほど経過し、残る作業のスペースがわずかとなった時、スタッフのB子さん(65歳)が「後は3人で大丈夫そうだから、私は裏階段を見てきます」と言って自在ボウキとちり取りを持って現場を離れていきました。
なかなか戻って来ないB子さんのことが気になったAさんが裏階段へ向かうと、踊り場でうずくまっているB子さんを見つけました。自在ボウキに足が突っかかり、前のめりに5段ほど落下、ひざ、腰を強打し、痛みで動けない状況で、すぐに救急車を呼ぶ事態となりました。
裏階段はこの日の清掃エリアには含まれていませんでしたが、B子さん、昨夜は多くの関係者が裏階段を使っただろうと、機転を利かせたようです。

[1]毎日同じ業務だから、特に作業計画は作っていない?!
事故報告を受けて、その事故の状況を確認する際、必ず「この作業について計画書はありましたか?」とお尋ねします。ほとんどが「毎日同じ作業ですから、特に計画書はありません」との回答です。「毎日同じ作業ですか?」と重ねて確認すると、「多少の変更はありますが、ほぼ同じです」と返ってきます。
事故はこの“多少の変更”によって引き起こされます。今回の事例も、いつもより施設の利用者が多く、床の清掃、回収ゴミの量は多くなっていたでしょう。そこで作業開始を少し早めたわけですね。
ここでいう“計画書”はそれほど大げさなものではなく、この“多少の変更”を記載したメモ程度でも良いと思います。口頭であっても、メモを元に変更を加えた段取りや作業の進め方をスタッフに伝えることが重要です。

[2]作業計画を難しく考えない―日々の作業の流れ・フローを念頭に―
毎日行う作業を以下のフローで考えましょう。
❶作業スタッフの健康管理・チェックから始めましょう。高齢者の多い現場では必ず行ってください。その結果をその日の作業の人員配置、作業の分担に生かします。これからの時期、熱中症対策にはとても重要です。
❷次に準備、段取りです。昔から“段取り8分”と言われるように、仕事のほとんどが準備・段取りで決まります。毎日ほぼ同じ作業であっても、機器、器具の準備、点検は日々行い、手抜きは厳禁です。天気によっては雨具や雨対策も必要です。事例の場合であればいつもより多めのゴミ袋や利用者の多い、汚れの多い箇所の事前確認なども必要でしょう。拭き作業、履き作業、バキューム作業などの各分担もこの段階で決めておきましょう。これらを朝礼の場で全員に周知しましょう。
❸本作業は段取り通りに進行できているかを確認しながら進めましょう。汚物処理など想定外の作業が発生した場合は、いったん作業を止め、改めてその場で分担の変更や資機材の準備などを行います。現場での変更事項はスタッフ全員が共有しておく必要があります。
❹作業終了後の後始末、片付けも重要です。作業結果の確認はもちろんですが、スイッチ・電源のOFF、水道栓の閉め忘れ確認などを行います。4Sの基本は、「使用した資器材は元のところへ戻す」です。“明日も使うからちょっとここへ置いておこう!”は絶対に止めましょう。

①健康確認
   ⇓
②段取り 朝礼で全員に周知
   ⇓
③本作業 変更時は作業を止めて
   ⇓
④後始末 作業


[3]予定した作業を変更する場合は?報・連・相を活発に!
B子さんは、作業全体が順調に進んでいて、ホールでの自分の作業がほとんどなく、少し手持無沙汰になってしまったのかも知れません。そこで本来言われていなかった作業エリアへ向かい、事故に遭ってしまいました。自己判断で作業内容を変更するケースも、実際に多く見られます。前向きの姿勢は悪いことではありませんが、勝手な判断、行動を許してはいけません。
行動する前に、報告=私の仕事は終わりました、連絡=裏階段が汚れているようです、相談=私はいま手が空いていますから、裏階段の清掃へ向かってもよいでしょうか?が職場のルールだという事を徹底させましょう。作業の変更の権限は、責任者Aさんが持っていることを明確にしましょう。

[4]作業指示6つのポイント
1日の仕事の段取りから片付けまで、現場責任者の役目はとても重要です。いろいろな事を指示命令することが多くなります。そこで、作業指示の仕方、指示者の姿勢の重要なポイントを6項目にまとめました。あくまで最低限の内容ですから、皆さん自身でさらに工夫してください。

作業指示のポイントチェックリスト


作業指示のポイント ✓
1 相手にやる気を起こすような指示をしていますか。  
2 相手の能力や体力を考えて指示していますか。  
3 指示の内容は分かりやすいですか。相手の理解できる言葉で伝えていますか。  
4 一度指示した内容をすぐに変更したり、取り消したりしていませんか。  
5 指示した内容が相手に伝わったか、理解されたか確認していますか。  
6 日ごろから相手とのコミュニケーション(あいさつや話し合い)をよく取っていますか。