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CASE64 洗剤の小分けはその容器にも明示を! ―身近な化学物質の取り扱いに注意、第三者への加害にならないよう―

2023/03/28 23:26

清掃業務を7年以上続けているA子さん(72歳、女性)、仕事はベテランの域に達している。

担当する複合ビルはやや老朽化が進み、特に地下トイレは一般の人も利用するため汚れがひどく、便器や床の排水溝からの臭気はなかなか取れず、少し濃い目の洗剤を使うことにしていた。

この日もペットボトルを再利用し、小分けした洗剤を持ち込み、やっとのことで作業を終え、次の作業に向かった。

しばらくして洗剤の入ったペットボトルが無いことに気づき、あわてて地下トイレに戻ったが、便器の上の棚に置いたはずのペットボトルは無かった。

清掃に使用する洗剤(洗浄剤)は、一般には特に注意しなければならないほど有害性や危険性が高いものはありませんが、目などの粘膜、皮膚などに影響を及ぼす可能性がありますから、取り扱いには注意しましょう。特に、洗剤を小分けにして持ち歩く場合は、ペットボトルなどを再利用するときでも、内容物の名称、性質(酸性、アルカリ性)や危険性(引火、爆発)の有無についてしっかりと明記しましょう。
ペットボトルは誤飲してしまう事故報告もあります。第三者を危険にさらすことになりますから、“自分さえ分かっていれば”という意識は禁物です。容器は必要な量だけ出せるような、小分け専用の容器を使うことにしましょう。

1.洗剤を小分けしたときは、種類、名称を必ず容器に明記しよう

▼洗剤・溶剤の取り扱いのポイント

項目 安全のポイント
❶ 強酸性、強アルカリ性の洗剤の使用は、責任者の許可制にする *保管庫はカギ付きで管理
❷ 使用する洗剤のpH値を測り、容器に明記する *pH値の知識を教育
❸ 洗剤、薬剤をむやみに混合しない、させない *混合時の危険性について教育
❹ 洗剤を小分けにした時は、種類、名称、危険性を明記する *小分け専用の容器を使用
❺ 洗剤を使用するときは、長めの手袋、保護メガネを着用する *眼への飛沫侵入事故防止
❻ 洗剤が目に入った時は、すぐに水で洗い流し、必要に応じ眼科を受診 *目に入った時の応急措置教育
❼ 洗剤、溶剤を使用するときは、換気を十分に行う *換気と立ち入り禁止措置
❽ 安全データシート(SDS)*を備え付ける
*参考例「トルエン 取り扱いマニュアル」(神奈川産業保健推進センター)添付
*作業者に分かりやすいものに

2.洗剤を小分けしたときは、種類、名称を必ず容器に明記しよう

トイレ、浴室清掃に使用する洗剤(洗浄剤)は、汚れの性質で酸性、アルカリ性洗剤の使い分けが行われますから、混った場合、塩素ガスを発生させてしまうので、特に注意しましょう。
こうした場所は作業スペースが狭く、密閉性も高いので、微量でも吸入してしまうと肺への障害を起こしますから、「混ぜるな危険」の作業方法の徹底と万が一に備え十分な換気に注意しましょう。小分けした場合はその容器に「混ぜるな危険」の標示を必ずおこないましょう。

▼トイレ、浴室清掃時の洗剤使用のポイント

❶トイレ *便器に固着した水あかや尿石の除去 酸性の洗剤
*便器の黄ばみ、カビ 次亜塩素酸ナトリウム(アルカリ性)
⦿その日に除去する汚れを限定し、洗剤が混ざらないようにする

❷浴室

*石鹸カスの除去 酸性の洗剤
*皮脂汚れ、カビの除去 塩素系カビ取り剤、アルカリ性洗剤
⦿その日に除去する汚れを限定し、洗剤が混ざらないようにする

3.SDSは分かりやすいマニュアルに

安全データシート(SDS)は、メーカー等で発行するものをそのまま掲示、貼付したりするケースが見られますが、記載内容が専門的であったり、標示が小さかったりします。
SDSを元に、分かりやすいマニュアルを作成すると良いでしょう。記載項目の一覧と参考例を参照してください。

▼取り扱いマニュアル作成のポイント(記載項目)

■人体への影響 ・吸入や皮膚・眼の付着の有害性
・繰り返しばく露した場合の影響→中枢神経、腎臓、肝臓の障害等の有無
■性質と危険性 ・高い引火性-引火点
・爆発の危険性の有無
■取扱い作業上の注意 ・設備・保護具を含むばく露防止措置の徹底
・作業を始める前の換気装置稼働
・汚染ウェス等の取り扱い(密閉容器への封入)
・有機溶剤での手洗いや身体を拭く行為の禁止
■使用すべき保護具 ・有機ガス用吸収缶付き防毒マスク、ゴーグル型の保護めがね、化学防護手袋

■火災時の対応

・注水の可否(火の拡大)
・粉末消火器
・炭酸ガス消火器など
■応急処置の仕方 ・現場から新鮮な空気の場所へ移動
・目や皮膚→直ちに水で十分に洗浄
・汚染衣類の脱衣(汚染衣類の廃棄方法)
・緊急時の搬送先医療機関の情報