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【生産性向上の支援・情報提供】「ロボットを導入した、その先」の課題に向き合う。|AMANO Robot Lab 取材レポート

2026/02/26 10:00

開催レポート
AMANO Robot Lab

「世の中に出回っている清掃ロボットの半分くらいは、実は止まっているのが実態ではないか。せっかく導入したのに活用が定着しない、というケースをどれだけ減らしていけるか。そこが、私たちが次に向き合うべき課題だと思っています」

そう話してくれたのは、アマノ株式会社で清掃ロボットの事業推進を担う斉藤氏。 こうした課題に正面から向き合ってきた結果、現在同社が展開する清掃ロボットの稼働率は96%を維持しているといいます。(※同社調べ)

今回は、神奈川県横浜市のアマノ株式会社本社にある「AMANO Robot Lab(アマノ ロボット ラボ)」にお邪魔しました。

あらゆる現場課題を擬似的に再現できる同施設のレポートとともに、「ロボットを導入した、その先」で直面する運用上のハードルを、いかにして乗り越えるか。清掃ロボット実用化の次なるフェーズに向き合う、アマノの具体的な取り組みを取材しました。

ロボットラボのエントランスには、アマノが誇る入退室管理システム、セキュリティゲート「GG-S」が出迎える。

「AMANO Robot Lab」で体験できる主要3機種。 AI型床洗浄ロボット「HAPiiBOT(ハピボット)」、広域をカバーする床洗浄ロボット「EGrobo(イージーロボ)」、塵力を極めたロボットスイーパー「RSrobo(アールエスロボ)」。
取材にご対応いただいたアマノ株式会社 クリーン・ロボットソリューション事業本部営業支援部長 斉藤圭一氏(右)と同部ロボット推進課 松坂玲氏(左)。

「結局は見てみないと買えないよね」という、当たり前の出発点

――それが、この「ロボットラボ」を作られた経緯なんですね。

松坂: そうなんです。2023年の7月にこの「AMANO Robot Lab(アマノ ロボット ラボ)」を作った最大の理由は「結局は見てみないと買えないよね」っていう、ごく当たり前のところにあるんです。

これまでロボットを検討する時って、展示会なんかで綺麗に整えられたデモンストレーションを見ることが多かったと思うんです。
でも、展示会場の床ってすごく綺麗じゃないですか。あんな環境、実際の現場にはまずない(笑)。 カタログ上の性能と、実際の現場での動きには必ず「乖離」がある。その乖離を埋める場所がないと、怖くて導入なんてできない、というのが当たり前の心理だと思うんです。

それこそ会社の上席の方だって、実際に動いているところを見て「これならいける」という実感が持てないと、なかなかハンコは押せません。

お客様が抱えている「本当にうちの現場で動くの?」という疑問を、現場に持っていく前にここで全部クリアにしてもらう。そのために、この場所を作ったんです。

「ちょっと意地悪だな」と言われるくらいの検証を

――施設内を拝見すると、床材の種類がすごいですね。

松坂: ここには、実際の現場で使われているあらゆる床を用意しました。艶なし・艶ありのタイル、長尺シート、カーペット、点字ブロック……。

 なぜこれが必要かというと、「床材とパッドの相性」が命だからです。弊社のロボット洗浄機は『HAPIBOT(ハピボット)』は、アマノが長年磨いてきた「床を洗う力(洗浄・吸水)」と、最先端の「ぶつからない・迷わない知能」を掛け合わせたロボットです。単に自動で動くだけじゃなく、現場の状況を自分で判断して、壁際まで攻めた清掃ができる。

「現場のタイルで走ったら、お水が残っちゃった」なんてことが起きたら、転倒事故にも繋がりかねない。だからお客様には「普段現場で使っているパッドや洗剤を持ち込んでください」とお伝えしています。

実際にここで試して、汚れが落ちるのか、水が切れるのか、納得いくまで見ていただくんです。

――かなり踏み込んだ検証をされるんですね。

松坂: ええ。あえて「ロボットが苦手な環境」も作っています。 例えば、光沢のあるセラミックタイルやガラスの壁。これ、実はセンサーが反射してロボットが迷子になりやすいんです。

他にも狭い通路や、わざと置いた障害物など、お客様から「ちょっと意地悪したな(笑)」と言われるくらいの設定でテストをします。

弊社のHAPiiBOTはタイルの光沢を回避せず走行できます。現場のタイル目地では残水ができるなどという残念な結果にならないように、ラボ内でも試していただけます。

できないことを「できます」と言うのが一番、現場を苦しめます。「ここまではロボットでいける。ここから先は人の手が必要だね」というリアルなラインを、導入前にここでハッキリさせる。それが、導入を失敗させない唯一の方法だと思っています。

「現場の再現性」を追求した検証エリア。床材はセラミックタイル、塩ビ(長尺シート)、カーペット、点字ブロックなど、実際の現場で多用される素材を網羅。さらに、センサーが苦手とするガラス壁、背丈の低い障害物、防犯ネット、スロープといった「難所」を意図的に配置し、実用レベルでの回避性能や清掃能力を徹底的にテストできる。

きれいごとだけじゃない。
現場の「ロボットアレルギー」を生んでしまう現実

斉藤: 実は私たちが今感じているのは、業界の状況が少しずつ変わってきているということです。 もちろん、まだこれから導入を検討されるというお客様もたくさんいらっしゃいます。

ただ、一方で「とりあえずロボットを入れてみたけれど、なかなか定着しない」という、次なる課題に直面している現場も増えています。

単にロボットを使いましょうという初期のフェーズだけでなく、すでに「どう使いこなすか」という、より踏み込んだフェーズも同時に始まっていると認識しています。

――「どう使いこなすか」という段階で、壁にぶつかっている現場があるのですね。

斉藤: そうなんです。そこを無視して、経営的な「建前」だけで導入を進めようとすると、現場の感覚と「水と油」になってしまう。

せっかく高い投資をして導入したのに、清掃のプロである皆様が、慣れない機械のトラブルで作業を止めなきゃいけない。導入後のトラブルに対しても「あとは現場でなんとかしてください」と突き放されてしまうケースも少なくないようです。

これでは現場が混乱し、結局誰も使わなくなって倉庫の隅に置かれたまま……なんてことになりかねません。

実際、お客様から「もう正直、ロボットアレルギーになりそうだよ」という言葉を直接いただいたこともあります。こうした声を聞くのが、我々としても一番心苦しい。

だからこそ、私たちは「ただ動くロボット」を提供するだけではダメだと思っています。現場を孤独にさせない「サポートのきめ細やかさ」を何より重視し「現場で確実に動かし続けるためにはどうすればいいか」という実態との乖離を埋める。

そのために、このロボットラボでの徹底的な検証と、導入後のサポートに力を入れているんです。

管理画面にはロボットが走行した軌跡(導線)がリアルタイムに表示される。 「どこを掃除したか」が一目でわかるだけでなく、清掃品質のバラつきを防ぎ、効率的な運用ルートの改善にも役立つ。

ルート上に急に人が現れたり、台車が置かれたりしてロボットのバンパーが何かに接触した際、システムは即座にそれを検知する。管理者の手元のモニターやタブレットへ即座に「アラート」が通知される。

――その「アレルギー」を解消するために、アマノが最も大切にしていることは?

斉藤: 結局のところ、「売りっぱなしにしない。導入してからがスタートだ」という姿勢に尽きると思っています。

 例えば、非常に高い清掃品質が求められる病院清掃の現場では、什器の 配置が頻繁に変わりますし、何より「安全性」へのハードルが非常に高い。

最初は現場の方も「ロボットがぶつかったらどうするんだ」という不安が大きかったんです。 そこで私たちは、ただ機械を置くのではなく、現場のスタッフの方と一緒に「このエリアはロボット、この隙間は人」と役割を徹底的に細分化しました。

さらに、ロボットが曲がる際の発声タイミングや、センサーがどう反応しているかを現場で見せながら、スタッフの方の「安心できる間隔」に合わせて設定を微調整していったんです。

――現場の「感覚」に合わせて、ロボットの設定をチューニングするのですね。

斉藤: そうです。単に「自動で動きます」ではなく、「ここの角を曲がる時は一度止まって声を出すようにしよう」といった現場ならではの気づきを吸い上げて、ロボットの動きに反映させる。

 そうやって一つひとつ「ここなら任せられる」という実感を積み重ねた結果、今では現場の皆さんに「相棒」のように使いこなしていただけるようになりました。

小型ロボット床洗浄機「HAPIBOT」の背面部。手動操作も可能なハンドルや、直感的に状況を把握できる操作パネルを備える。「現場スタッフが迷わず扱えること」に徹底してこだわった設計が、導入後のスムーズな定着を支えている。
高い清掃品質が求められる医療現場、公共交通機関、工場、商業施設などにアマノの清掃ロボットが導入されている。

ロボットに任せきりにしない。
人がリモートで「コントロール」するという形

――それでもやはり実際の運用が始まると、想定外の突発的な事態は起きてしまうものですか?

斉藤: ええ、そこが難しいところなんです。どれだけ事前に詰め切っても、現場は常に「生き物」ですから。

「いつもは開いているはずの扉が閉まっている」「急な処置でルート上に備品が置かれた」といったことは、どうしても起きます。

そうした時、これまではロボットが止まるたびに、作業の手を止めて誰かが駆けつけなきゃいけませんでした。それが積み重なると、せっかくの導入が「結局、ロボットに振り回されているだけじゃないか」という疲弊に繋がってしまうんです。

これでは何のために導入したのか分かりません。そこで活躍するのが「遠隔操作」なんです。

―― 現場に行かずに、離れた場所からどこまで「コントロール」できるんですか?

松坂: 現場でロボットが止まってしまっても、今は離れた場所からタブレット一つでカメラ映像を確認し、その場で「ちょっと右に動かして回避させる」といったリモート操作が可能です。

――現場まで走らなくても、手元の画面で「救出」できてしまうと。それは確かに、管理側の負担がかなり軽減されますね。

斉藤: その通りです。だからこそ私たちは、この機能を単なる便利なオプションではなく、「現場の心理的・物理的ハードルを下げるための不可欠なツール」だと考えているんです。

先日実際に、四国のお客様とも実演したのですが、横浜にあるロボットを四国から操作していただきました。

画面越しにスッと動くロボットを見て、「あ、これなら今の担当者でも対応できるね」と仰ってくださいました。

「ロボットが100%全自動でやってくれます」という建前を一度置いて、「もし止まっても、離れた場所から誰かが助けてあげられる」という仕組みを作る。

この「遠隔サポート体制」こそが、一人の管理者が複数の現場を無理なくサポートできるようになる、現実的な生産性向上への近道だと考えています。

管理モニターから遠隔操作を行っている様子。走行の再開だけでなく、前後左右への移動、一時停止、さらには清掃ルートの変更といった指示をリアルタイムで送ることができる。現場に行かずとも、手元のデバイス一つで細かな復旧操作が可能。

3年後、5年後、同じ場所に人が確保できるか?

――「ロボットは高すぎる」「狭い現場には不要だ」という経営者の方の声もあります。

斉藤: おっしゃる通りだと思います。「長期的に見れば~」なんて言われても、その現場の契約がずっと続くかもわからないですし、特に狭い場所のためにわざわざ投資できるかといったら、難しいのが現実ですよね。

しかし、すぐにロボットを導入する必要はなくても、今できることがあるとすれば「3年後、5年後、同じ場所に人が確保できますか?」という点なんです。今はなんとか手作業で回っていても、本当に人がいなくなった時に、初めてロボットを触るのでは間に合わない。

だからこそ、今のうちから「離れた場所からちょっと助けてあげれば、一人の管理者が複数の現場を見られるようになる」。そういう新しいやり方を、現場が安定している今、まずは体験して、体制を作っておくことが大事だと考えています。

アマノの本社ビルの階段にずらりと並ぶ特許プレートの数々。自動床洗浄機の、床の凹凸に合わせてブラシの圧力を自動調整する技術も特許を取得している。

おわりに

今回お邪魔した「AMANO Robot Lab(アマノ ロボット ラボ)」は、現場のリアリティを追求し、実務に即した検証ができるよう細部まで工夫が凝らされた施設でした。

そこには、単なる導入の推奨を超え、いかに現場に定着させるかという、ロボット活用の「新しいフェーズ」が始まっていました。

人手不足への備えとして、何が現場にとっての正解なのか。こうした検証の場を、皆様の今後の体制作りにおける一つの判断材料として、ぜひ積極的にご活用いただければと思います。


■ 企業情報

アマノ株式会社( https://www.amano.co.jp/

  • 本社所在地: 神奈川県横浜市港北区大豆戸町700番地
  • 事業内容: 情報システム(就業・給与・人事)、時間管理(タイムレコーダー)、クリーンシステム(清掃ロボット・床洗浄機・集塵機)、パーキングシステム(駐車場管理)の各事業。

■ 施設情報

AMANO Robot Lab(アマノ ロボット ラボ) (https://www.amano.co.jp/Clean/robotlab.html

  • 所在地: 神奈川県横浜市港北区大豆戸町700番地(アマノ株式会社 本社内)
  • アクセス: JR横浜線・東急東横線「菊名駅」より徒歩約7分