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CASE73 今日もまたまた同じような事故が!? ―現場の作業安全担当者Aさんの嘆き―

2023/12/15 12:00

ショッピングセンター清掃現場の作業リーダーAさん(62歳)は、安全管理も担当しています。事故の防止に熱心に取り組んでいるのですが、なかなか減りません。今日もまた1件、開いたドアにぶつかるという労災事故が起きてしまいました。起こった場所は異なりますが、先月も同様の事故が起きていて、幸い重大事故には至っていないのですが、今年すでに4件発生しています。Aさんはその都度作業者に「事故が起きないように注意して!」と、指示しているのですが……。

[1] 事故は作業者の不注意だけ起きているのでしょうか?

ドアにぶつかる事故、どの現場でも多く報告されています。ドアは急に開くものですから、ドア付近では常に注意が必要です。
しかし、事故原因を考えると、果たして“作業者の注意不足”だけでしょうか。ドアの激突事故の場合、ぶつけられる側とぶつけてしまう側の“双方に注意不足”があると考えられます。相手側への注意喚起が欠かせないことになります。

[2] 事故の原因をモノ、ヒト、作業方法でしっかり捉えましょう。

事故の発生には、必ずモノ(設備)、作業者(ヒト)、作業方法の3つの要素が関係しています。どんな小さな事故でも、この3つの要素をしっかりと捉える必要があります。そこがあいまいだと、再発防止にはつながらないのです。

【設備対策を優先】

今回の事例では、モノは「ドア」です。ドアの開閉方向はどうでしょうか。内開き? 外開き? さらに、小窓(明かり窓)はあるか?など、中の人の存在が確認できる構造かどうかが重要です。建物の改装になるので清掃業者自らが改善することは難しいですが、ビル利用者全体の安全にかかわることですから、特に事故が多発している個所(ドア)では改善の申し入れをするとよいでしょう。

【しっかり表示】

トイレのドアは内開きが多いため、クリーンクルーが清掃しているところに、急いで入って来た利用者が開けたドアがぶつかる、といった事故が多く起きています。ドアの向こう側に人がいる、という状況はなんとなく分かっていながら「誰もいないだろう」と思ってしまいます。そこで、『ただいま清掃中・作業中』などドアへの標示が重要です。マグネット板など多くの場所に貼ることのできるグッズも市販されていますから、活用しましょう。

【作業の進め方の改善】

作業手順や時間帯を見直すことも重要です。入口に背を向けない作業方法、トイレ個室内清掃はいったん施錠して利用者の少ない時間帯に行う、などの工夫が考えられます。ビル内の移動では、廊下の通行区分をドア側ではない方を優先することや、ドアの前での一時停止などの徹底も重要な対策です。事例とは状況が異なりますが、建物入口の自動ドア清掃では、ドアの電源を切る、『作業中注意看板』を設置する、通行を禁止するなど、ドア周辺、利用者の安全も配慮した作業手順を定めましょう。

[3]ヒトによる対策は欠かせない

設備対策や作業方法を改善しても、ヒトの行動が安全でなければ事故は無くせません。最後は作業者自身による安全行動が求められます。第一は、表示や作業の順番など決まり事をしっかりと守ることです

『作業中』の表示が難しい場所では、自分から周囲への声掛けをこまめに行いましょう挨拶や“すみません”の一言が事故防止につながります。

ドアの前では指差し確認で「ドア開閉注意ヨシ!」と声に出して安全を確かめましょう。大声でなくても自分自身への呼びかけのつもりで実施してください。急いでいる時こそ一呼吸が必要です。加害事故を防ぐことにもつながりますので、実践しましょう。

[4]ヒヤリハット活動で再発防止
事故に至らなくても、ヒヤッとした、ハットした体験は日常茶飯です。実際に起きた事故情報を含め作業者全員で共有しましょう。そのために、施設内の危険マップを作製しましょう(写真)。現場の写真を貼り出してもよいでしょう。毎朝の朝礼で情報を更新したり、今の季節なら天気の変化によって高まる危険個所を皆で確認することも有効です。

以上の内容を、「ドアの激突事故防止確認事項のポイント」としてまとめましたので、チェックリストとしてもご活用ください。

ドアの激突事故防止確認事項のポイント

区分 内容
モノ(設備)
1 ドアへの標示・注意喚起(内・外開きの標示、開閉注意、ドアの向こうに人がいます等)
2 ドアの開く範囲を床面に表示する(危険エリアの明示)
3 ドア開閉時に音や光で注意を喚起する(障害者対策)
作業方法
4 ドアに背を向けない作業方法、姿勢で行う
5 ドア周辺作業は利用者の少ない時間帯に
6 利用者や協働作業者へのこまめに声掛けする
作業者
7 ドア開閉注意ヨシ!と声に出して安全確認
8 作業場ない事故ヒヤリマップ作成で情報の共有