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CASE67 マンホール作業には二重、三重の安全対策を! ―夏場に多い酸欠、硫化水素中毒事故―

2023/06/22 13:00

2023/04/27 16:30 更新

設備業者のベテラン社員Aさん(47歳)は、同僚5人と市民会館トイレ改修工事の準備に向かった。
現場に着いてから早速2班に分かれて状況を確認することになった。Aさんは若いBさん(28歳)と2人で1階から地階を担当した。
しばらくして、監督者が打ち合わせをしようと思い、Aさんたちを探していたところ、地下排水溝に通じるマンホール内で2人が意識不明の状態で倒れているのを発見した。
すぐに病院に搬送したが、2人とも死亡が確認された。

事例は6月5日午後5時ごろ、新潟県長岡市の市立中央図書館でトイレの改修工事中に発生した事故を参考にしています。マンホール周辺で起きる事故は、マンホール内への転落、マンホール内作業中の転倒、そして、酸欠・硫化水素中毒が主なものですが、作業者だけでなく、通行人など第三者へ被害が及ぶこともあり、マンホールは大変危険な場所と言えます。
今月は、マンホール周辺作業の安全のポイントとして、酸欠事故対策に重点を置いて取り上げます。

[1] 事故の原因は?マンホール作業の酸欠事故対策の認識はあったか?

報道によれば、トイレの配管のつまりを解消する作業が行われていましたが、マンホール内(地下)での作業は当初の予定では無かったといいます。なぜマンホール内に入ったか、その理由は分かっていないようです。また、二人は酸素測定器をもっておらず、現場にも用意されていなかったようです。
詳細は警察や監督署の捜査を待つほかありませんが、トイレの配管のつまりの原因を探るためには、マンホール内に入らないと分からないことがあったのではないかと想像できます。作業前のリスクアセスメントや危険予知活動(KY)は実施されていなかったのでしょうか。
しっかりと実施していれば、マンホールすなわち危険個所という認識が共有され、事故を防ぐことができたのではないでしょうか。

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