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CASE55 10階から部品が落下し、通行人の頭に!高所作業時のヒヤリを減らす対策を

2022/06/30 09:00

2022/6/30 09:00 更新

    ビルの10階で窓の清掃を始めようとしたAさん。落下防止対策の意識が薄れていたため、ベランダに取り付けられた植木鉢を置くための金属製の板に足をかけてしまった。すると、板の一部(長さ約60cmほど)が壊れて、落下。下を歩いていた40歳の男性の頭に当たったが、幸いけがの程度は軽かった。


この事例は今年4月、東京都中央区のビルで発生した事故を参考にしています。
高所作業の安全対策で、まず思い浮かぶのが作業者の墜落、転落事故防止です。具体策としてフルハーネスの装着やヘルメットの着用などが義務付けられていますが、もうひとつ忘れてはならないのが、事例のような落下防止対策です。厚生労働省の災害分類では、「飛来・落下」として区分されています。

飛来・落下による重大事故は、建設業や製造業、林業で多く発生しており、その原因となるのが次のようなケースです。

➀クレーンなどで吊った荷が落ちて当たる
②トラックに積んだ荷が崩れ落ちて当たる
③建設現場などで、資材や部材が外れ落ちて当たる
④伐採した立木(枝)が倒れ落ちてきて当たる
⑤研削砥石が割れて頭・顔・眼に当たる

令和3年の死亡者数は全体の4.4%、38人に上っています。休業4日以上の災害でも同様に4.0%を占めていることから、約15万人の被災者数に対し、6000人ほどの人が「飛来・落下」の被害にあっていることになります。

工具・資機材の落下事故

建物管理や窓清掃作業では、高所作業時に工具や清掃資機材などを落としてしまう事故、また事例のようにベランダ周辺の金属枠や植木鉢等の落下事故が発生しています。落下物による通行者の被災事例として記憶に新しいのは、令和元年11月、和歌山市で12階建てのビル屋上の工事用足場から鉄パイプが落下した事故です。通勤中の銀行員(当時26歳・男性)を直撃し、死亡させてしまう痛ましい災害となりました。この現場では、事故の4日前にも同じ現場で鉄パイプを落下させるヒヤリ事故が発生したばかりでした。

落下物による事故は、1000分の1秒の差で、軽傷で済むか死亡事故となるか、まさに紙一重です。事故に至らなかったからといってホッとしてはいられません。しっかりとした落下防止対策と作業前のリスクアセスメントで、事故を未然に防ぐ必要があります。

物を落とさないための対策

☑ゴンドラ、ブランコなどで窓清掃を行う際は、作業前に構造物の状況確認を。
☑建物の構造物となる壁面やベランダの枠などに機材が当たって、破損または壁の一部等が壊れて落下しないよう、当てもの(ショック吸収パット)で機材を保護する。
☑マンションでは、住人がベランダ、窓枠等に物を置いていないかチェック。
☑清掃を開始する前にマンションの住人に告知しておくこと。
☑ベランダや窓枠に足をかけての作業は事故原因になるのでやめる。
☑万が一工具等が落下しても途中で防げるように養生ネットやメッシュシート(防護ネット)、朝顔(画像参考)などを設置。
☑個々の作業者の工具、資機材の落下防止対策として「工具落下予防ストラップ(イラスト参照)」なども活用する。

落下危険エリアへの立ち入りを禁止する

上記のほか、落下事故防止対策には、危険個所への立ち入りの禁止措置もあります。建物の利用者への告知や通行禁止標識の設置などで安全を確保しましょう。作業中は見張りの人を配置し、通行人への注意喚起や交通誘導をすることも必要です。

電線工事などで使われる「朝顔」落下防止網
藤井電工株式会社『ツヨロン』

工具落下防止ストラップ例

公益社団法人
全国ビルメンテナンス協会広報委員会 委員
阿部研二さん

1977年中央労働災害防止協会に入社。健康快適推進部長、出版事業部長を経て、2019年5月まで常務理事。