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期待感の高まる「ビル設備管理技能士」の可能性

2022/07/15 15:00

2022/07/15 15:00 更新

時代の変化とともに、ビル設備管理の現場で求められる技術や知識も、刻一刻と変化を続けています。
そんな中、現場社員のスキル向上、将来的な事業拡大を図る上で、これからの可能性に期待したい資格として挙げられるのが「ビル設備管理技能士」です


ビル設備管理技能検定を通じて得られるメリット

「ビル設備管理技能士」は建築物の空気調和・換気、電気、給排水等、設備の構造や機能に関する知識と、管理に関わる技能の習得を証明する国家検定「ビル設備管理技能検定」に合格することで得られる称号です。ではその取得が現場の人材の育成に、そして企業のビジネスにどのような効果を発揮するのか。「ビル設備管理技能検定」を活用する2社の声から探っていきます。

インタビュー①
RB工装株式会社
ビル事業本部長 森 英雄 さん

――どのような狙いで「ビル設備管理技能士」の取得を推奨しているのでしょうか。

当社はJR東日本グループの駅ビルや商業施設の設備管理を中心に手掛けています。運転保守や空調制御に加え、空調のフィルター清掃や除水槽・雑排水槽の清掃、消防設備点検、建築基準法第12条の特定建築物の調査、建築設備など、領域は多岐にわたります。そういった業務の特性上、やはり所長クラスに上がる時には、それら設備全般に関する知識が必要となります。
また所長クラスになると、部下をまとめる管理能力も求められます。設備全般に関する知識と現場の管理能力の両方を網羅する資格としては、何より「ビル設備管理技能士」が最適だと考えて、社員に対して取得を推奨しています。

――現在はどのくらいの技能士が御社にいらっしゃるのでしょうか。

現在、1級の有資格者が42名おり、ほとんどが所長クラスの人材です。毎年、受検資格のある希望者には全員受検してもらうスタイルですが、一方で所長や次期所長、サブリーダーになるような人材については、部課長から推薦させる仕組みを設けており、毎年10名程度が受検しています。
やはり設備全般について網羅的に学べる、という点が当社にとっては資格の大きな魅力です。建築物環境衛生管理技術者や電気主任技術者などの資格の取得も薦めていますが、私達が所長クラスに求める全般的な知識が得られるかというと、資格の特性が異なります。
ビル設備管理全体を理解するという目的においては、「ビル設備管理技能士」以上に適した資格は他に見当たらないと考えています。

――設備全般に関する知識はどのように現場で活きていますか。

近年の設備管理の現場では、実際の修繕作業などはメーカーが対応するケースが多いですが、それでも初動では現場管理者に、何が原因かを探り、一次対応をどうするか、といった判断が求められます。
メーカーが対応している際にも、現場管理者が「何をしているかよくわからない」では、責任を全うしているとは言えません。また所長は所員に対して、法令や根拠に基づいた対処方法の指導を行う役割もあります。そこでも総合的な知識が大いに発揮されるでしょう。
当社では近年「ビル設備管理技能士」の増員に注力していますが、それによって業務の総合的な品質が上がってきていると感じます。所長のプロフィールに「ビル設備管理技能検定士」の称号が入っていることでビルオーナーからの信頼も得られ、しっかりと業績に好影響を与えていますので、これからも社員に取得を薦めていく方針です。

インタビュー②
西日本ビル管理株式会社
社長室長兼技術部次長 助安 博 さん

――「ビル設備管理技能検定」の特徴をどのように捉えていますか。

私自身も早い段階で2級を取得したのですが、特に実務未経験者に適した資格だと考えています。たとえば電気工事士などの資格は持っているがビルメンテナンスの実務が未経験という方は、実際の制御回路について技術や知識を備えていないことが多い。
具体的に分電盤の中の回路を見るための知識を学ぶ、という資格は他にあまりないですね。そういう点において、実務に就くための導入教育として、とても有効な資格だと思います。

――現場での実務に適した資格だと。

電気工事士などでは回路を新規で組むといった作業は学びますが、「ビル設備管理技能検定」のように「どこが故障しているか見つけなさい」といった実務的な知識は学べません。現場で不具合が発生した際に、電圧は問題ないか、回路は問題ないかといったチェックを繰り返しながら、不具合の原因を探っていく知識や経験は、他の資格ではなかなか得られないものです。
また空調に関する作業であれば、当社では特定建築物の検査や調査、建築設備の検査を請け負っています。ここでは排煙機や空調機の換気量を、ダクトや試験口から風速計を入れて計測するのですが、これらも「ビル設備管理技能検定」を通して学んでいることで、問題なく対応できたという経験があります。

――もちろん管理側の人材にも技術的な知識は有意義なものですよね。

そうですね。現場作業員が困っている時に、本社の現場管理者が「わからない」となるようでは、会社の“弱み”になってしまいます。
現場作業員にしっかり指導ができる人材がいれば、現場作業員や顧客との信頼関係にもつながります。昔は現場の技術に強い人材も多かったですが、いまはそういった人材も少なくなりました。また職業訓練で学んできた方達もやはり実務経験で足りないところがあります。現場に関わる人材の技術的な知識・経験を補完するという意味で、「ビル設備管理技能士」の取得は、効果的な対策ではないでしょうか。

ニーズ拡大・価値向上に向けた働きかけを展開

このように「ビル設備管理技能検定」を効果的に活用し、業務品質の向上やビジネスの拡大を叶える企業がある一方で、全国ビルメンテナンス協会では「ビル設備管理技能検定」のさらなる発展に向け、2021年度から、さまざまな角度での働きかけを進めています。
「ビル設備管理技能検定」がスタートした1996年に比べて、
現在はビル設備は高度化し、建物の使われ方も変化し、
設備管理に求められるユーザーニーズも劇的に変化しています。
いまの時代に「ユーザーから求められる設備管理」を把握し、
これに資する資格者としての「ビル設備管理技能士」となるよう、
技能検定を所管する厚生労働省への働きかけを前提とした
調査研究活動の実施も視野に入れています。
併せて、国土交通省「建築保全業務積算要領」の技術者区分に、「ビル設備管理技能士」
を位置付けるための働きかけについても検討をスタートしています。
 現時点でも現場社員の技能向上に対して効果を見込める「ビル設備管理技能検定」ですが、上記の働きかけによって、将来的にその価値やニーズがさらに高まることも期待されます。いち早く、現時点での受検を検討することが、会社の人材力の向上、そして将来的な事業拡大に貢献する“自社の強み”となるかもしれません。

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