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最先端ビルメンテナンスロボット視察ツアー in 中国(報告)

2026/10/05 14:00

中国で進むロボット活用の現在地と、ビルメンテナンス業界のこれから

全国ビルメンテナンス協会では、2026年9月27日から30日にかけて、中国・北京、杭州、上海を訪問し、最先端のロボット技術とその活用状況を確認する視察ツアーを実施しました。(当初、サンフランシスコへのツアーを予定していましたが、視察先の調整ができず、行き先を変更)

今回の視察には、会員企業8社18名と全国協会事務局1名が参加。北京ではBOOSTER社とGALBOT社、杭州ではDEEP ROBOTICS社を訪問し、人型、車輪型、4足歩行型など、それぞれ特徴の異なるロボットを実際に見ながら、開発担当者との意見交換を行いました。また、上海では無人タクシーへの乗車も体験しました。


視察の目的

中国ではロボット産業が急速に発展しています。

今回の視察では、現地で実際のロボットや開発現場を見ることで、日本国内で得られる情報だけでは分からない技術水準や実用化の状況を把握することを目的としました。

さらに、メーカーとの意見交換を通じて、ロボットが社会や産業でどのように使われ始めているのかを確認し、将来のビルメンテナンス業務への活用可能性を考える機会としました。


人型ロボットの可能性を探る

BOOSTER社(北京)

最初に訪問したBOOSTER社では、人型ロボットのショールームを視察しました。二足歩行ロボットによる案内や、複数のロボットによるダンスを見学したほか、実機を前後から押しても姿勢を保つ様子から、歩行時の高い安定性を確認しました。

BOOSTER社では、小型で教育・研究向けの「K1」と、高度な開発向けの「T2」を展開しています。

カメラやセンサーを使って周囲を確認しながら、物を持つ、運ぶ、障害物を避けるといった動作を開発することができ、将来的には案内、巡回、物品運搬、清掃などへの活用も想定されています。

一方、清掃用具を使った作業などを行わせるためには、道具や作業場所に合わせてロボットに動きを学習させる必要があります。

本体を導入するだけで仕事ができるわけではなく、実際の現場に合わせた動作をどう開発するかが重要であることが分かりました。


ロボットが自ら判断して作業する

GALBOT社(北京)

GALBOT社では、オフィスビル1階に設置されたロボットによる無人店舗を視察しました。

利用者がタッチパネルで商品を注文すると、ロボットが棚の中から指定された商品を探し出し、取り出します。

ショールームでは、荷物の運搬やピッキングなどの動作を確認するとともに、人の手の動きをロボットに覚えさせる体験も行いました。

GALBOT社の特徴は、ロボットがカメラなどを使って周囲を確認し、自ら判断しながら作業する技術です。

店舗や倉庫、工場、ホテル、医療・介護などでの利用が進められており、利用者が自動化したい作業に合わせて、必要となる動作や仕組みそのものを開発しています。

視察を通じて印象的だったのは、ロボット本体だけではなく、「どんな仕事をさせるのか」を利用する側と一緒に考え、必要な機能を開発していく考え方です。

これは今後、ビルメンテナンス業務へのロボット導入を検討する上でも重要な視点となります。


点検・巡回への活用に期待

DEEP ROBOTICS社(杭州)

杭州では、2足方向型や4足歩行型、車輪型の産業用ロボットを開発するDEEP ROBOTICS社を訪問しました。

同社のロボットは、人が入りにくい場所や危険な場所での点検・巡回を主な用途としており、電力設備、工場、建設、下水道、消防・災害対応などで活用されています。

カメラや熱画像を利用した設備点検、メーターの読み取り、異常な温度の発見などにも利用できます。

車輪型は移動速度や扱いやすさに強みがある一方、4足歩行型は段差や悪路などへの対応力があります。また、一度地図を作成すれば、決められたルートを自動で巡回し、充電場所へ自動的に戻ることも可能です。

ビルメンテナンス分野では、特に設備点検や危険区域の巡回への活用が期待されます。一方で、人がいる建物の中で運用する場合には、安全対策や運用ルールなどについても検討していく必要があります。


無人タクシーにも乗車

自動化技術が「実際に使われている」ことを体験

今回の視察では、ロボットメーカーへの訪問に加えて、上海・浦東新区の一部エリアで運行している無人タクシーにも乗車しました。

走行中は周囲の車や自転車などを検知しながら、車線変更やカーブ、Uターンなどを自動で行います。

自動化技術が研究・開発だけにとどまらず、実際の街の中で利用されている状況を体験する機会となりました。


視察から見えてきたこと

ロボットという「ハード」だけでは仕事は自動化できない

今回の視察では、人型、車輪型、4足歩行型など、用途の異なるさまざまなロボットを確認しました。

中国では、ロボットが店舗や工場など、実際の生活や仕事の場へ着実に導入され始めています。

しかし、今回の視察で特に重要だと感じたのは、ロボットという「ハード」があるだけでは、さまざまな仕事を自動化できるわけではないということです。

各メーカーはロボット本体に加えて基本的な動作を行うソフトウェアや、新しい動作を開発するための仕組みを用意しています。しかし、清掃、設備管理、警備など、それぞれの現場で実際に仕事をさせるためには、業務を理解した上で、必要となる機能や動作を開発していかなければなりません。


ビルメンテナンス業界として、いまから可能性を考える

現時点では、ビルメンテナンス業界の幅広い業務にロボットが活用されている状況は、今回の視察では確認できませんでした。

だからこそ、ロボットが完成するのを待つのではなく、業界側から「どの仕事をロボットに任せられるのか」「そのためには何を開発する必要があるのか」を考えていくことが重要です。

今後、他業界や新たな企業が先行してビルメンテナンス業務に対応した技術やサービスを開発すれば、現在ビルメンテナンス企業が担っている仕事の一部を、そうした企業が担う可能性もあります。

今回の中国視察を一つのきっかけとして、全国ビルメンテナンス協会では、業界としてロボットをどのように活用していくのか、そのために必要な研究・開発や企業との連携をどのように進めるのかについて、具体的な検討につなげていきます。


視察概要

実施期間
2026年9月27日~30日

視察先
BOOSTER社(北京)
GALBOT社(北京)
DEEP ROBOTICS社(杭州)
無人タクシー乗車体験(上海・浦東新区)

参加者
全国ビルメンテナンス協会 会員企業8社18名、全国協会事務局1名