淘汰される社内コミュニケーション習慣#4
ビジネスチャット体験利用から3か月。気になる各社の結論は!?[PR]
DX化で訪れる「改革」の大きな流れは、個人間のコミュニケーションという「生活の足元」からすでに浸透が始まっています。
個人ではすでに変化しつつある、あるいは変化を終えてスタンダードと化した「コミュニケーションの主流」は、果たしてビルメンテナンス業界にどう影響するのか? 改めていまを振り返るとともに、ビルメンテナンス事業者による「これからの社内コミュニケーション」の検討、そして挑戦を全4回にわたってレポートします。
4月から始まった本企画も、ついに最終回。
最終回となる今回は、3か月間のビジネスチャット体験利用を通じて、各社それぞれが至った結論や、これからの社内コミュニケーションの展望について語り合いました。
<司会・ファシリテーター>
橋本 通裕 全国ビルメンテナンス協会 シニアマネージャー
<ご参加者> |
||||
大野 洋平 氏 |
綜合建物サービス株式会社 代表取締役 |
|||
森岡 健太郎 氏 |
互光建物管理株式会社 ホテル管理部 部長 |
|||
秋山 悦朗 氏 |
株式会社くらしのセゾン 営業統括部 営業開発担当 エキスパート |
|||
三瓶 佑樹 氏 |
株式会社トーカンオリエンス 代表取締役社長 |
|||
馬場 弘行 氏 |
株式会社ビーエムアドバンス 代表取締役 |
|||
五十嵐 丈博 氏 |
東北ビル管財株式会社 専務取締役 |
●これまでのアーカイブ
#1 問題提起
第1回では、ビルメンテナンス業界の社内コミュニケーションを考えるにあたり、昨今の社内コミュニケーション事情の変化や、ビジネスにおける主要なコミュニケーションツール(電話や電子メール、WEB会議、ビジネスチャットなど)について、改めてメリット・デメリットを整理し直すとともに、現在の業界が置かれている現状と、予想される課題について整理しました。
#2 座談会「社内コミュニケーションのDX」
第2回では、DXによるビジネスの変革期を迎えるビルメンテナンス業界において、ヒトに密接に関わる「社内コミュニケーションのDX」をテーマに、業界人6名それぞれの立場・環境から課題を語り合っていただきました。
#3 ビジネスチャットの体験導入の舞台裏!得られた気付きとは?
座談会参加メンバーの各社でビジネスチャットelgana®のテスト導入を開始して1か月が経過し、中間報告として、実際に体験利用を開始したビジネスチャットの活用状況や、導入にあたって感じた課題、得られた気づきなどについて情報交換を行いました。
ビジネスチャットelgana®のテスト導入を開始して、はや3か月となりました。
前回の座談会のディスカッションでは、コミュニケーションのDXを考えていくにあたって、ビジネスチャット単独の機能だけでなく、例えば「出退勤」などに紐づけることができれば、ビジネスチャットそのものへの抵抗が薄まるのでは?という仮説が浮かび上がってきました。
最終回となる今回は、前回共有した課題やその解決案をふまえ、3か月に及ぶビジネスチャットの体験利用を通じて各社それぞれが至った結論や、これからの社内コミュニケーションの未来について語り合いました。
橋本:皆さんの社内で体験利用を経た現在の状況を聞かせてください。
馬場:弊社では社用の携帯を契約した際、セットで薦められた他社のビジネスチャットを契約していたのですが、今回体験利用したelgana®の方が使いやすかったんです。そのため、今回を機にシステム管理者と相談して本格的に乗り換えることにしました。
社内からの評判は良く、機能面だけでなく「自動問合せのキャラクターがかわいい」との声も上がっています(笑)。
ビジネスチャット自体はこれまでも一部で使っていたこともあって、従来使用していたグループをそのままelgana®に移行するなどあまり労力をかけずに乗り換えることができました。
橋本:何が決め手になったのでしょうか?
馬場:実はこれまで使っていたビジネスチャットと比較しても、予算はあまり変わりませんでした。ですが、もともと使っていたビジネスチャットには「無料プラン」がなかったんですね。これまでのディスカッションを踏まえて、今後はパート・アルバイトなどの層までビジネスチャット利用を広げていきたいと考えたとき、パート・アルバイトには無料プランを、社員には有料プランを、と組み合わせて広く使うことができるのが決め手になりました。
大野:弊社では一般的な個人用チャットからの乗り換えを検討してみたのですが、考えた末に「そこまでの機能を求めていなかった」ということに思い当たりました。
機密情報を扱う場合は、社内ポータルを使うことにしていることもあって、検討を重ねていくと、ビジネスチャットの「セキュリティ」や「高機能さ」などには、そこまでの重きを置く必要がなかったんです。
一般的なチャットにはないような、ビジネス向けの機能があって便利そうだとは思うのですが、よく検討してみるとまだ弊社ではオーバースペックになってしまい、使いこなせるイメージが湧きませんでした。自分自身がスマホで文字を打ったりというのが苦手というのもあるとは思います。
現時点ではコミュニケーションツールとして、普段から皆が使い慣れていて抵抗感の少ない一般的な個人用チャットをそのまま利用していこう、という判断になりました。
秋山:弊社もビジネスチャットの本格活用は様子見になりそうです。
これまでも複数のビジネスチャットを導入しているのですが、社内に浸透していない状態でした。
そもそも「なぜビジネスチャットを導入していたのか」「なぜ社内に浸透できていなかったのか」について疑問に思い、管理している総務に改めてヒアリングしてみました。回答としては、一般的なチャットを業務で利用するには個人間でのやりとりが不透明で、セキュリティの観点からビジネスチャットを導入したとのことでした。ただ現状では社内コミュニケーションでeメールが基本的に使われているため、ビジネスチャットの使用はマストとなっていません。
使う必要に迫られることがないため、個人チャットである程度事足りてしまっているという状況で「もしかしたら情報漏洩につながるようなことになっていないか?」という心配もあります。
三瓶:弊社では既に導入済みの別のビジネスチャットを使用しながら、今回elgana®の体験利用をしました。
もともと管理職で使うコミュニケーションツールとして「社外はメール」「社内はビジネスチャット」と、はっきりとしたルール決めをして導入していったので、浸透率は高い状態でした。そのため今回の体験利用では、コミュニケーションがどう変わるかというよりは、「elgana®では何ができるだろう?」と比較することが主眼となっていました。
結果としてelgana®のシンプルで使いやすい仕組みなどポジティブな面は感じつつ、既存ツールの利用が社内浸透しているため、乗り換えを検討するとなると従来使っていた機能で「これが出来ないと困る」といった仕様の違いが検討の上で障害となっていくのだなと感じました。
ただ今回の座談会を経て改めて再認識したのは、「社内コミュニケーション」が私たちの仕事の背骨ということでした。全ては会話(コミュニケーション)の中から仕事が始まり、密にコミュニケーションを図っていかないと、何事も円滑にいきません。
今後は、例えば出退勤管理やワークフローシステムなど便利なDXツールが増えていくと思いますが、ビジネスの核になるコミュニケーションツールを起点に他のツールを統合していくことが理想だと思っています。弊社では現在利用しているビジネスチャットや今回体験利用したelgana®も含めて、どういった統合ができるか社内で話し合いを続けています。
森岡:弊社では機密情報を含む連絡は全てメールでやり取りを行っている状況で、判子による社内承認手続きなどアナログな文化も根強く残っています。
外出時に急ぎの書類に承認が必要な時に電話で内容を聞いて、まずは口頭で承認をしておいて、あとから実際の承認手続きをすることもあるのですが、今後効率性やセキュリティを考えていくと「これはまずいだろう」と思っています。うまくビジネスチャットとワークフローシステムを連携出来るようにしていけば、とても便利だと思います。
五十嵐:弊社では役員での体験利用からスタートして使い勝手に納得し、現在は現場での利用を進めているのですが、現場からは「これまで使っていた個人チャットの方が慣れているから楽」という反応でした。現場はそこまでセキュリティを意識しないこともあり、新しいビジネスチャットに慣れるというところにまで行かなかった状況です。
今回は現場で本格活用するところまでは辿り着けましたが、ビジネスチャットに慣れて「どう業務に落とし込んでいくか」実際の現場に落とし込み深掘りしていくことが最大の課題と思っています。
今回は、elgana®を提供するNTTビジネスソリューションズより、ビジネスチャットのさらなる活用方法や将来展望などについても語ってもらいました。
事例のひとつとして紹介されたホテル清掃の現場では、ホテル側の管理システムと連携し来館情報などをリアルタイムで把握して、いつどの部屋を清掃しなければならないか、各スタッフがelgana®を通じてスマホでわかるようになったなど、ビルメンテナンスの現場業務が効率化されたとのこと。
その他にも、未来を見据えた技術のひとつとして、生成AIを活用した業務効率化について様々な議論が行われ、ビジネスチャットの将来的な可能性や活用の広がりを感じさせる機会となりました。
橋本:今回、 6社でのディスカッションや体験利用を進めながら意見を交わしていただいて、今後の展望など何か見えてきたことはありましたか?
五十嵐:経営者としてはビジネスチャットを活用して業務効率化を進めたいという思いはあります。
ただ、言語化の訓練が出来ていない人が使ってしまう事で、却って誤解を招いてしまうような恐れもあるので、ビジネスチャット利用について会社としての教育を施すなどしっかりやっていかなければ、と感じました。
馬場:弊社ではグループチャットを通じた「コミュニケーションの見える化」に手ごたえを感じています。
例えば、従来はメールで複数人に一斉に作業依頼をすると、お互いお見合い状態になってしまい誰も動かないというケースもありました。
ところがグループチャットを使ったところ、誰かがすぐに返信し、他の人もそれに呼応して反応するなど、コミュニケーションのプロセスが見えるようになったことは大きな成果です。それと、やはりelgana®は管理機能が優れており、従業員の側で勝手にグループが作れないように制限できる仕組みが良いなと思っています。この利点を生かし、現場層への適切な利用拡大を検討していきたいと考えています。
三瓶:今後チャットボットやAIとの合わせ技で、例えば一日の業務終了後にチャットボットやAIが「今日はどうでしたか?」と聞いてくれて、回答するだけで業務報告書が自動作成されるような未来が実現されれば、もっとビジネスは加速していけるのではないかなと思いました。
秋山:弊社では部門ごとに縦割りになってしまっていて、横のコミュニケーションがなされていない状態なんですね。例えばAの部門でなされた課題解決が、B部門には共有されていない。
他の部門で過去に改善・解決できた「ノウハウ」がビジネスチャットの中にデータとして蓄積できていって、それが参照できる仕組みができると良いですね。
社内の情報共有をより深く広く進めていかなければと思いますが、その時に軸になってくるのがビジネスチャットのようなコミュニケーションツールだと期待しています。
森岡:ホテル業界は365日稼働で、セキュリティの高い情報が飛び交うので、色々と心配なこともあります。
高齢者や外国人も多く、またホテルからの指示もほとんど紙ベースです。ただ、例えばトラブル事例の共有など、紙だけでは十分行き届かなかったり、その場に出勤しているメンバーだけで終わってしまう部分もあるので、今後効率化を考えた時、コミュニケーションをDX化していくのは必要なのだろうと考えています。
今後は勤怠管理などと合わせて、ビジネスチャットの活用を目指していきたいと思います。
大野:弊社では現状は個人チャットの利用になりますが、チャットツールは時間を気にせずに瞬時に複数の人と共有でき、一つの案件でも、現場や営業など、縦・横の繋がりの必要な人みんなで把握できるのが良いところです。
さらに先ほど話にあったようなAIの活用など、ビジネスチャットの今後の拡張性や展望をお聞きして「すごい世の中がやってくるのだな」と、とても面白く思いました。
五十嵐:従業員と触れ合う「きっかけ」ができたことが大変大きかったと思います。この機会を活かして、私としては継続して利用してみたいです。現場サイドには「余計な仕事」と思われないようにポジティブな成功体験を積み上げていくための施策についても今後考えていきたいと思います。
馬場:今回の企画を機に弊社はelgana®の正式導入に至りましたが、この座談会は社内コミュニケーションのあり方を考える機会となり、また実際の製品に触れてNTTビジネスソリューションズの導入サポートもいただいたおかげで、社内ですんなり切り替えることもできました。
10年ぐらい使っているものを切り替えることになるため従業員のアレルギー反応を心配していましたが、びっくりするほどすんなりいきました。サポートがよかったおかげだと思います。
三瓶:ビジネスチャットというといろんな機能が搭載されているので、「必要最低限の機能」の見極めがすごく難しいと思いますが、このelgana®はその塩梅がものすごく絶妙だと思いました。
RPAやAIといった今後の拡張機能の展望にも期待したいですね。
秋山:ビジネスチャットは導入していても使えていない社内状況が弊社にあったので、少し斜め向きな姿勢でスタートしました。しかし、現実的な活用方法や他のシステムとの連携などを考える機会となり、とても勉強になりました。
ビルメン業界のこれからの課題を洗い出せて、将来的な展望に向けて少しずつでも走り出していけるのではないか、と前向きな結論が得られました。
森岡:「とりあえず必要そうだな」という程度に考えていましたが、弊社では導入・管理する側も実際に使う現場側も「モチベーションを上げる」ことがまだできていないなと痛感しました。ビジネスチャットに限らず、使っていく人たちがモチベーションを上げて、乗り越えていけるような手立てを考えていきたいと思います。
大野:API連携で他のソフトウェアと連携できること、生成AIを活用した将来展望が気になっています。スマホ一台で十分な仕事ができるようになっていくというのはすごいことだと思います。
マネージメント側と現場側の世代間ギャップなどに考慮しつつも、新しいテクノロジーを導入していくことで、この業界の未来が開けていくんじゃないかと思います。
①導入前の“味見”が重要
現場での使い勝手や運用ルールの検討のためにも、正式導入前に社内で小規模にテストしてみることが重要です。
多くのツールには無料サービス版が用意されています。これらを使って実際に“味見”をして比較検討してみてください。
何が良くて何が悪いか、味見を行うことで自社に合った最適なツールが見えてきます。
②まずは成功体験を!
実際に使う方々が「モチベーションが上がる」「やってよかった」と思うような体験を一番初めに経験させてあげられるような仕掛けを行うことが重要です。
「なんでも良いから使ってみて」と現場任せにしてしまうと使い方がわからないまま終わってしまいます。何かひとつでも簡単な利用ルールを決めてスタートすると現場も使い方に慣れて社内浸透が進みやすくなります。
例えば日常的な業務終了時にビジネスチャットで「終わりました」と一言送る。いつも業務がひとりで完結してしまい孤独感を感じるスタッフにとっては、自身のメッセージにリアクションが付くだけでも「チームでやっている」と安心感・一体感が生まれます。
そこから社内の雰囲気が変わり、サークル活動が発足するようになるなど、業務の効率化だけでないポジティブな影響が生まれることに繋がった事例もありました。
NTTビジネスソリューションズ株式会社
座談会で挙がった「ビルメンテナンス業界のモヤモヤするコミュニケーション課題」を漫画化!