「ビルメンWEB」オープン記念座談会ITおよびネットメディアから展望するビルメンテナンス業界の未来 <第1回>

2021/09/27 12:00 更新

全国ビルメンテナンス協会の会員向け広報誌『月刊ビルメン』が「ビルメンWEB」へと生まれ変わりました。「ビルメンWEB」は、従来の『月刊ビルメン』の読者層である経営者のみならず、パート・アルバイトを含む全国110万人のビルメンテナンス従事者すべてに向けた全く新しいメディアです。そこで、業界関係者の皆さまにお集まりいただき、「業界の発展に向けて、どのようなコミュニケーションサイトが必要とされているか」というテーマについて話し合っていただきました。以下に、オンラインで実施した座談会の様子をお届けします。

座談会にご参加いただいた皆さま

イオンディライト株式会社
千葉エリアセンター主任/土肥隆憲氏

三栄メンテナンス株式会社
代表取締役社長/萩原康宏氏

大成ビルサービス株式会社
開発営業部/大福亜里紗氏

公益社団法人 京都ビルメンテナンス協会
事務局/南部 翼氏、臼井裕美氏

公益社団法人 全国ビルメンテナンス協会
事業開発部長/尾崎貴之氏

[司会]
「ビルメンWEB」編集長/内野一郎

(左上から時計回りに)尾崎貴之氏、萩原康宏氏、南部翼氏、臼井裕美氏、大福亜里紗氏、土肥隆憲氏


■業務におけるIT活用の実際は?

――皆さん現場で当たり前のようにスマホを使い、LINEでやり取りもし、業務報告もするでしょうし、その中に、今度このビルメンWEBサイトも共存していくわけなので、今までよりも情報の受発信がしやすくなると思っています。ビルメンの仕事で実際、ITを当たり前のように活用していると思うので、まずどのような使い方をしているかを伺いたいと思います。

土肥 現場で働く従事者の中には、60〜70代の高齢者も多くいますが、ITツールではメール連絡はほぼ全員が共通で利用しています。各個人レベルでは、技術の向上、マネジメント、リーダーシップについてインターネットでの情報収集を通じてスキルを高めるなど、主にネットを「学びの場」として活用しているケースが多いです。

大福 現場での日常的なコミュニケーションでは、スマホのメールやビジネスチャットアプリを活用しています。また、社内ポータルサイトからは、全社的な通達事項や各種マニュアルを確認できるほか、様々なコンテンツのe-ラーニングを受講することもできます。近年では、動画を活用したマニュアルやe-ラーニングも増え、ITの活用が充実化していることを実感しています。

――企業によっては、報告書の作成を紙からデジタルに転換するといった取り組みをしているケースもあるようですが。

大福 弊社を含め、地方の中小企業では、なかなかペーパーレス化が進んでいないのが実情です。従来通り、紙をたくさん使っています。一方で、全体の1割程度ではありますが、一部のお客さまからはデジタル形式での報告書提出を求められるケースもあります。

萩原 弊社では、メール、スケジュール管理、掲示板などの機能が一体になったサービスを利用しています。各自のスケジュールを全員で共有しているので、会議の日程を組む際などに、いちいち本人に確認を取る必要がありません。それに、同サービスの掲示板機能を利用して、会社の就業規則を社員が自由に閲覧できるようにしています。就業規則は、労働者全員がいつでもどこでも見られるようにしておかなければ労基法違反になります。案外、徹底できていない企業も多いのではないでしょうか。
また、会社の保養施設の予約および利用状況の確認、社用車の予約などもオンラインでできます。今年からはタスク管理ツールも導入して、さらに合理化を推し進めていくつもりです。IT化を進める上で、アナログの良さや紙の便利さというのも少なからずあります。紙の資料の端にメモ書きができるなど。その辺は残すところは残すようにしています。

――京都ビルメンテナンス協会はとりわけITによる情報発信に力を入れているように感じています。

南部 2年ほど前までは本当にアナログで、会員様へのお知らせはすべてFAXか郵送で行っていました。それを徐々にメールなどに切り替えています。ホームページに加えて、最近ではLINEでも情報発信を行っていて、会員の皆さまに限定するのではなく、会員以外の方々にも利用してもらうべくアピールを続けています。それでもFAXの方が都合がよいという声もあります。セキュリティの厳しい企業さまで、担当の方がメールを送受信できない環境にあるといった場合です。当面はアナログな方法も併用しながら、徐々にデジタル化を目指しています。また、事務局の運営においても、LINEのグループチャットを導入したことで、業務を効率化することができました。従来は、委員会の会議の日程調整を行うために、委員さんそれぞれの会社にメールや電話を使って何度も連絡をし、やり取りをしていたのですが、直接担当者に届くLINEグループの導入で、委員さん同士の情報をリアルタイムに共有し、すぐに調整できるようになりました。また、理事のLINEグループもあって、わりと気軽に事務局からも発言できるようになりました。効率よくスピーディーに、しかも気軽にコミュニケーションが図れるというのは、ITツールの大きな利点だと思います。

尾崎 『月刊ビルメン』を例に挙げるなら、紙媒体による情報伝達はどうしても一方通行です。毎月雑誌送ることはできても、きちんと届いたのか、実際に読んでいただけたのか、どの記事に注目していただけたのか、どんな感想を持たれたのかなどを知ることはできない。双方向性という点での弱みを痛感しています。
近年では、多様なデジタルツールが登場して、不可逆的に社会に浸透しました。「社会の当たり前」を「業界の当たり前」にし、業界が社会変化の波に乗れるようにすることも、協会の使命だと思います。そのため全国協会では、情報伝達や工法を含む事業活動のデジタル化を積極的に進めていく方針です。やるからには実のあるもの、会員の皆さまに喜んでいただけるサービスでなければなりません。そのためにも、皆さんのご意見を伺いながら一歩ずつ着実に取り組んでまいります。

――この座談会はZoomを使って開催しています。新型コロナウイルスの感染が拡大する中で、リモートワークの必要性が叫ばれ、こうしたITツールが急速に一般化しました。これは間違いなく、デジタルの恩恵だといえるでしょう。私たちの間の距離が、どんどん近くなっている。ビジネスのスピード感というか、時間の感覚が今までとはまったく違いますね。コロナで背中を押されて、あっという間に局面が変化したという実感があります。


■組織にとって理想のホームページとは?

――企業のIT戦略を考える上で、真っ先に思い至るのがホームページの存在です。企業サイトは、自社のPRを目的にしていますが、せっかくつくっても、ほったらかしにするのでは意味がない。その本質にあるのは、そのサイトを使ってどれだけコミュニケーションを活性化させるかということだと思います。そこで、皆さんの会社や組織がどんなホームページをつくっていて、それをどう活用しているかをお聞かせください。

大福 弊社は、つい最近ホームページを全面的につくり変えたばかりです。創業60年という記念の年を迎えたこともあって、企業イメージを形づくる大きな要素であるホームページを全面的に刷新しました。いちばん意識したのは、お取引先に加えて、求職者の方に弊社を深く知っていただきたいということです。慢性的な人材不足から、求人をかけても人が思うように集まらないという課題の解決に向けて、ホームページを見た求職者に「働きやすそう」と感じてもらえるように、入社したあとの姿をイメージしてもらえるようにと、社内で話し合ってこの形になりました。
一般的に、ビルメンテナンス企業のホームページは、どちらかというと「固い」「生真面目」な印象のものが多いのですが、弊社の新しいホームページでは、あえて「やさしい」「やわらかい」という印象を与えることを意識しました。更新頻度が上がったこともあって、「ホームページを見ました」といっていただく機会が増えました。企業として戦略的にWEBを活用することの大切さを改めて実感しました。

萩原 うちのホームページも古いので今年あたり変えようと検討中です。ほったらかしにしている会社さん、特にビルメンは多いですよね。更新がされず掲載された情報がすごく古いと、就職活動している人からすると、「ああ、この会社はITやWEBに疎いんだな」と判断されます。だからブログとか、とりあえず何かしら情報を更新するよう心掛けています。弊社ではメルマガを毎月出していますが、メーラーの設定によっては、HTMLメールを受信できない人もいますよね。ですから、そうした情報はブログを見てくださいというように使い分けて更新しています。ブログには、仕事と関係ない地元行事や、社員の趣味の話題などもアップされています。

土肥 例えば、新幹線の清掃をされている(株)JRテクノハートTESSEIの業務を拝見すると、「おもてなしの気持ち」といった美観以上の価値も提供していますよね。私は病院の清掃業務に携わっていますが、そのフィールドでも美観や衛生だけではない価値を提供していきたいと考えています。患者さんの気持ちを和ませ、医療従事者の心にゆとりをもたらすような……。そうした取り組みや姿勢を、会社のホームページをはじめ、ネットメディアを通じて発信することができたら理想なのではないかと感じています。

南部 私たち京都ビルメンテナンス協会でもホームページのつくり直しを考えています。以前は月に1度、業者さんに更新作業を依頼していて、ほとんど変化のないものでした。ですが、協会のことをもっとアピールしたい気持ちがあり、可能な限りリアルタイムでの発信ができないかということで、自分たちで都度更新できるページをつくってもらいました。その甲斐あって、講習会では「ホームページを見た」という新規の受講者も増えてきました。新しいホームページをつくるにあたっては、まだまだ練りたい案があります。講習会の情報などオフィシャルな活動に関するコーナー、外国人技能実習生やその関係者に役立つ情報を扱うコーナー、事務局から様々な情報を、ときには他愛もない内容を発信するコーナーなどを設けてはどうかと検討中です。事務局として自由に発信することにより、会員企業で働く今まで交流の取れなかった部署の方たち、事務員さんなどともつながりを持ちたいと期待しています。そこからさらに、協会やこの業界を知らない人たちを巻き込んで、業界をアピールできたら……という野望を抱いています。まだイメージが完全に固まっていないので、時間をかけてつくり直したいと考えているところです。


座談会にご参加いただいた各社の企業ホームページはこちら

座談会リポート記事は、<第2回>に続きます。(9月中旬公開予定)
どうぞご期待ください!


他メディア編集部からの
応援メッセージをご紹介します!

「ビルメンWEB」のオープンにあたり、同じ業界のメディアのご担当者の皆さまより、応援メッセージを頂戴しました。私たち編集部も、ビルメンテナンス業界を盛り上げていく一助となるよう、努力してまいります。メッセージをお寄せいただきました、各メディアご担当者さま、誠にありがとうございました!

■『月刊ビルクリーニング』編集部より

弊社は1986年の創業以来、清掃を中心としたビルメン情報を集めて加工し、届けることを生業にしています。今般の清掃作業監督者講習用テキストの制作もお手伝いしました。情報というのはアウトプットされたものであり、それが印刷物かWebか会話かで異なりますが、どれがいいというものでもありません。Webは便利な一方で、閲覧させること、しっかり読ませることの困難さがあります。同時に、届ける側の作業が、紙媒体よりはるかに労力がかかるような気もします。そして最も重要なのは、中身です。十分な検証や裏付けが必要で、さらにそれが広く伝わるようにあの手この手で加工する技術も必要です。「ビルメンWEB」の多くの閲覧者はビルメンテナンスのプロのはずで、プロが満足する情報を届けるためには、プロ以上に業界に精通しなければなりません。自戒を込めてメッセージとします。

  • 『月刊ビルクリーニング』編集長/株式会社クリーンシステム科学研究所 代表
    坂上逸樹
  • https://bc-ol.com/

■ビルメンポータルサービスBuilpo(ビルポ)編集部より

「ビルメンWEB」サイトリリース、誠におめでとうございます。様々な情報で溢れている現代の中で、貴団体がWEBサービスを展開することは大変喜ばしく、今後の更なるご発展をご期待申しあげます。ビルメンテナンス業界では、清掃ロボットやIoT、最近ではDXと目まぐるしく変化しています。しかしデジタル化によってもたらされるのは単なる業務の効率化だけでありません。「人にしかできないこと」が明確になることで、人が行う業務の価値を再認識できる大きなチャンスでもあると考えています。「ついていけない」「自分には関係ない」と敬遠されがちですが、人が、企業が、業界が変化していくにはまず情報を「知る」ことが必要です。私共のサービスもWEBやITツールの活用により、業界の人手不足を解消、各人がよりよい環境で働ける未来の創造を目指したプラットフォームです。【ビルメンWEB】様と共に業界発展のお手伝いできれば幸いです。


■『日本ビル新聞』編集部より

「ビルメンWEB」公開おめでとうございます。デジタル化の流れが加速するなか、『月刊ビルメン』がWEB媒体にリニューアルされたことは、デジタルが馴染みのあるものになる良い機会であると考えます。WEB版になることで、より多くの関係者が情報に触れる機会が増えることを期待します。21世紀型の企業を目指していくうえで、従来のやり方にとらわれていたのでは生き残っていくのが厳しい時代です。デジタルに対する理解を深めることが避けて通れない今、当社の運営においても参考になることが多いと考えております。デジタルがより身近な存在として活用されることで、業界がさらに活性化されていくことを祈念しております。


「ビルメンWEB」の4つのポイント

ついに誕生した「ビルメンWEB」は、広報誌『月刊ビルメン』を発展・進化させた、かつてない業界メディアです。ユーザーにとっての利用メリットを中心に、具体的なサービス内容を以下にご紹介します。

■ポイント1
「手軽に」「無料で」必要な情報へアクセスできる

PCやスマートフォンなどを介して、多くの人が場所や時間に縛られることなく、必要な情報へ自由にアクセスできます。通勤中やプライベートなど、ちょっとした時間を利用してビジネスに役立つ情報収集を行うことができます。しかも、購読にあたり利用料等は必要ありません。

■ポイント2
事業者が知っておくべき業界の最新情報が集約

「ビルメンWEB」は、ビルメンテナンス事業者にとって必要な情報を集約したポータルサイトです。鮮度の高い情報を随時更新するので、本サイトを見れば業界の動向がひと目で把握できます。これまで全国ビルメンテナンス協会のホームページ上でお知らせしていた情報も、本サイトにて一括して発信します。

■ポイント3
各利用者のニーズにかなう情報が必ずみつかる

各個人によって知りたい情報は違います。業務内容や、社内での立場、年齢、性別、地域など、さまざまな利用者のニーズに応える情報をお届けします。従来の『月刊ビルメン』では、主に経営者やマネジメント層に向けた記事を中心に扱っていましたが、本サイトでは、現場の従事者やパート・アルバイトの皆さまに向けた記事なども多く紹介する予定です。

■ポイント4
ネットならではのコンテンツが盛りだくさん

情報発信の舞台がウェブに移ったことで、ネットの特性を最大限に生かしたコンテンツの提供が可能となりました。例えば、動画を視聴する、オンラインセミナーに参加する、参考資料等のデータをダウンロードする、ユーザー同士で情報交換を行うなど……、これまでになかった新しい利用メリットが生まれます。