Q.2022年は労働安全衛生法施行50周年とのことですが、どのような成果があったのですか?

A.労働安全衛生法は、1972年に施行されているので、来年の2022年は施行50年目となる節目の年です。成果としては、法の最も大きな目標であった死亡災害の減少に大きく寄与したと言えます。

2021/11/22 11:00 更新

法の制定の背景と特徴

労働安全衛生法の特徴として、法遵守のための仕組みとして行政監督と罰則規定があげられます。
行政監督については、安衛法第91条で、「労働基準監督官は、この法律を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは作業環境測定を行い、又は検査に必要な限度において無償で製品、原材料若しくは器具を収去することができる。」と規定されています。
また、刑罰規定については、安衛法第12章で罰則が定められ、さらに安衛法第92条で「労働基準監督官は、この法律の規定に違反する罪について、刑事訴訟法の規定による司法警察員の職務を行なう。」と規定され、労働基準監督官による罰則規定の執行による法の履行確保の機能を果たしていくことになります。
さらに安衛法122条の両罰規定により、行為者だけでなく会社も刑事責任を取らされることになっています。
このほか、安衛法は、労働災害防止への手法や仕掛けとしての労働災害防止計画、安全衛生教育、特別規制等、様々な規定があり、それらが全体的に関連しあいながら労働災害減少をもたらすことにしています。

労働安全衛生法の成果

安衛法の成果としては、最大の目的であった労働災害の減少、特に、あってはならない死亡災害の減少に大いに寄与したことがあります。死亡災害の件数は以下の通り、減少し続けています。
死亡災害が過去最高だったのは、1961年の6712名で、安衛法ができるまでは、ずっと高止まりでした。ですが、安衛法が施行されてからは、1974年には5,000名を切り4,330名へ、1975年には4,000名を切り3,725名へ、1981年には3,000名を切り2,912名へ、1998年には2,000名を切り1,844名へと減少し、2015年にはとうとう1,000名を切って972名となり、その後は1,000人未満の状態(直近の2020年は802名)を維持しています。
なお、労働災害の発生とその国の文化水準は大きく関係すると言われています。今後も、決してあってはならない死亡災害はもちろんのこと、労働災害全体の減少を各企業は安衛法とともに取り組んでいくことが望まれます。

出典:「労働災害発生状況」厚生労働省

森井労働法務事務所
森井 博子さん

もりい・ひろこ 元労働基準監督官で、全国各地を歴任。
著書に『労基署がやってきた!』(宝島社・刊)。
http://www.morii.jimusho.jp/

お悩み募集中!
本連載では、読者の皆さまからのご相談や悩みごと(企業経営、法律などに関するもの)を募集しています。
こちらのお問い合わせフォームより、ご相談内容を投稿してください。
※その際、[お問い合わせ内容]の欄に「なんでも相談室 相談募集」とご記入ください。