現場が好きだからこそ独立を選んだ
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株式会社碧ビル美装
代表取締役 西 一兵 氏

―――清掃のお仕事をするようになった経緯を教えてください。
西 私は中学卒業後の16歳から働き始めて、19歳で結婚しました。だから、若い頃から進学や夢を追いかけるというよりは、「家族をどう養っていくか」がいつも最優先でした。父が料理人だったので、本当は料理の道に進みたいという思いもあったんです。一度は父の店でも働きましたが、家族を抱えながらその道で生活していく難しさも感じました。
その後は工場勤務などさまざまな仕事を経験しました。当時はとにかく働ける場所を探して飛び込むような状況でしたね。工場も契約社員でしたし、給料も決して高くありませんでした。居酒屋でアルバイトもしていたんですが、そこで出会ったお客様が後に入社することになる会社の取締役で、「うちで働いてみないか」と声をかけていただいたことが、この業界との出会いでした。
―――清掃の仕事を始めた当初はどのような気持ちでしたか?
西 正直に言うと、最初は掃除に特別な興味があったわけではありませんでした。19歳で結婚し、子どももいましたから、とにかく家族を養うことが最優先でした。ですから当時は、「この仕事がしたい」というよりも、「しっかり働いて生活を安定させたい」という思いの方が強かったですね。
とはいえ、これまでさまざまな現場仕事を経験してきたので、清掃の仕事そのものに抵抗はありませんでした。ただ、契約社員という立場でしたし、将来への不安は常にありました。だからこそ、資格を取って技術を身につけ、自分の価値を高めていかなければいけないと思っていました。
最初の2〜3年は本当に仕事を覚えることに必死でした。先輩に教わりながら技術を身につけ、仕事が終わった後にポリッシャーの練習をすることもありました。そうして少しずつ現場を任されるようになり、お客様から直接評価をいただけるようになってから、この仕事の面白さや責任の重さを感じるようになりました。
―――現場を任されるようになってから、仕事に対する考え方に変化はありましたか?
西 そこから仕事の面白さを感じるようになりました。
清掃という仕事は商品を売る仕事とは少し違います。私たちが提供しているのは「きれいになった」という感動なんです。お客様が「わあ、きれいになったね」と言ってくださる。その瞬間のために仕事をしているようなところがあります。
もちろん、どの会社もきれいにはできます。でも、その中でどうすればさらに喜んでいただけるのかを考えるのが面白かったですね。仕事の範囲ではないけれど少し整理整頓をして帰るとか、お客様とコミュニケーションを取るとか、そういう小さな積み重ねを大切にしていました。
―――お客様との関係づくりで大切にしていることは何ですか?
西 私は「挨拶」が一番大切だと思っています。
この仕事は技術だけでは続きません。どれだけきれいにしても、挨拶やコミュニケーションがおろそかだと信頼は生まれないんです。極端な話、挨拶一つで現場を失うこともあると思っています。
だから現場では、お客様だけではなく、その会社ですれ違うすべての方に挨拶するようにしています。社員にもそこは徹底していますね。学生時代に経験した厳しい上下関係や礼儀の大切さが、今になって役立っていると感じています。
―――取締役という立場から独立を選んだ理由を教えてください。
西 一番大きな理由は、やっぱり現場が好きだったからです。
取締役になると管理業務や経営判断が増えて、どうしても現場から離れる時間が長くなります。もちろん経営の勉強もさせてもらいましたし、貴重な経験でした。
ただ、自分の中では「お客様の声を直接聞きたい」「現場に立ちたい」という気持ちがどんどん強くなっていったんです。取締役という立場では、会社全体を見なければいけない場面も多く、現場の人間として感じることとの間で板挟みになることもありました。
最終的には、自分が本当にやりたいことを選んだ結果が独立でした。

―――独立する時にはどのような苦労がありましたか?
西 一番大変だったのは家族の理解を得ることでしたね。
妻の実家も自営業を経験していたので、商売の厳しさをよく知っています。だから簡単に「やりなさい」とは言えなかったと思います。前の会社からも引き留めていただきましたし、自分自身も悩みました。
それでも、「現場で仕事をしたい」という気持ちは変わりませんでした。時間はかかりましたが、最終的には家族も理解してくれて、独立に踏み切ることができました。今思うと、本当に周囲の支えがあったからできた決断だったと思います。
―――現在の碧ビル美装はどのような会社を目指していますか?
西 もちろん会社として成長することは大切ですが、規模を追うことだけが目標ではないんです。 現在は同業者さんの協力会社として動くことが多く、自社で対応できない部分を補う「黒子役」のような存在を目指しています。ガラス清掃や夜間作業など、他社が対応しにくい仕事を請け負うことで、必要とされる会社になりたいですね。
―――協会活動を通じて得たご縁について教えてください。
西 ここ数年で全国に仲間ができたことは、本当に大きな財産ですね。
特に印象に残っているのが神奈川協会の皆さんとの交流です。私はガラス清掃を得意としているのですが、昌永産業の金井晃海さんから「講師として来てほしい」とお声掛けをいただき、神奈川へ伺う機会がありました。
その際には、オーエルサービスの山本領矢さんをはじめ多くの方にお世話になりました。横浜や小田原などを案内していただき、各社のオフィスや研修施設なども見学させてもらいました。実際に現地へ行ってみると、人材育成の考え方や職場環境づくりなど、本当に学ぶことが多かったですね。
全国にはいろいろな会社がありますが、それぞれに強みや工夫があります。そうした話を直接聞けることが、協会活動の大きな魅力だと思っています。
―――全国の仲間との交流から得られるものは何ですか?
西 やはり実際に会って話をすることですね。
情報はインターネットでも入りますが、現場の課題や工夫というのは直接会わないと分からない部分があります。
また困った時に相談できる仲間が全国にいるのは本当に心強いです。アビリンピックについても金井さんをはじめ、全国の皆さんからアドバイスをいただいています。そうしたつながりが今の活動の支えになっています。
―――アビリンピックへの思いを聞かせてください
西 アビリンピックについては特別な思いがあります。補佐員として全国大会に関わらせていただいたことで、県大会と全国大会の違いも見えてきました。だからこそ、山口県でも全国を見据えた環境づくりを進めていきたいと思っています。
山口県から全国で活躍できる選手を育てたいですし、全国大会で結果を出すことで山口県の存在も知ってもらえると思っています。
―――なぜそこまで「山口から発信したい」と考えておられるのですか?
西 山口県をもっと知ってほしいんです。
全国の協会活動やアビリンピックを通じて、「山口からこんな取り組みをしている人がいる」「山口って面白いね」と思っていただけたらうれしいですね。
私自身が有名になりたいわけではありません。山口県や地域のビルメンテナンス業界に少しでも興味を持っていただき、全国とのつながりが広がっていけばいいなと思っています。そのための発信は、これからも続けていきたいですね。
―――今後の目標を教えてください。
西 まずは現場を大切にしながら、お客様や仲間との信頼関係を築いていきたいですね。
その上で、全国の仲間との交流を深めながら、自分自身も新しい知識や技術を学び続けていきたいと思っています。
私自身、まだまだ勉強中ですし、これからも挑戦を続けながら、少しでも業界のお役に立てればうれしいですね。




Corporate Information
- 株式会社碧ビル美装
- 〒751-0828 山口県下関市幡生町1丁目1-8-1
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- 代表取締役 西 一兵
