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時代、時流を常に念頭に企業経営に全力で取り組む

2026/05/25 14:00

左から、取締役業務部長・吉田ななみ氏、専務取締役・武井靖行氏、代表取締役社長・松岡雄介氏

―――まず、会社の現状を教えてください。

吉田 当社はマンション、ビル、建物の総合衛生管理常務を全般に請け負います。部門ごとにエキスパートがそれぞれの分野でオフィスビルのみならず、マンションの管理も含めたメンテナンスの全般と土木工事や建築リフォーム工事、外壁診断など幅広いサービスを展開しています。
創業したのが1950年なので、4年後に70年を迎えます。

―――社歴、70年ということは、業界の黎明期から営んでいるのですね

吉田 父の代を含め、創業当時から気づけば時間が経っていたということです。無我夢中で走ってきたという感じです(笑)。
建物管理ってすごく奥が深くて、ビルメンテナンスというお掃除だけではなくて、工事関係もすべて、官公庁を問わず、ビルオーナーのご要望に応えることができるところが当社の強みかなと考えています。福岡市の施設をはじめ公共の建築物、そして民間施設、あとは学校関係というところで、さまざまな分野の建物管理をさせてもらっているのが現在の状況です。

―――御社は協会活動にも永年、ご尽力いただいていると承知しています。

松岡 弊社は創業してから、企業としての成り立ちとビルメンテナンスという職業そのものがどのように社会に認知されなければいけないのかということを考えてきました。
色々な問題の根幹は、地元で解決することはそれで良いが、そのためにも業界が健全に発展していくためには何をしなければならないのか、企業としてどのようにあるべきかを考えて、協会活動も取り組んできました。

―――具体的にはどのようなことですか

松岡 常に「健全な危機感」ということは意識しています。「当社は今のままではまずい。自分がなんとかしなければ」と、自分ごととして改革に取り組める問題意識を指します。
「健全な危機感」がない状態だと、従業員が「会社がなんとかしてくれるだろう」「今までどおり、うちの会社は大丈夫だろう」など、例えはよくありませんが「人任せ」志向が強くなります。そこに危機意識を持って、業界としてどのようにあるべきなのか? その中で当社はどのようにあるべきかを考えた時に、帰結したのはビルメンテナンス協会のさまざまな事業にも関わりを持とうということでした。

―――確かに福岡県ビルメンテナンス協会はさまざまな活動をされていますね。

松岡 1995年から福岡県ビルメンテナンス協会として「都市ビル環境の日」を定めて、きれいな街づくりや美化運動に取り組んでいます。ビルの衛生的環境を確保し、そこに居住する人々の安全を守る我々の仕事は都市との強い結びつきがあることを考え、より良い街創りのあり方を広く問題提起して喚起することと、我々の仕事の内容をアピールする場として、毎年10月4日(とし=都市)を「都市ビル環境の日」として設定し、活動しています。

―――話は変わりますが、企業としての現在の状況はどのようにお考えですか? 

吉田 やはり、新型コロナウイルスの影響は大きかったです。現在はインフルエンザと同様の「5類」に引き下げられていますが、このことは企業活動に大きな影響を与えました。何よりビルメンテナンスは都市型産業です。人がいない、経済活動が停滞している時には動かないのです。それが大きく変わりました。街を歩いても人の多さを実感します。
一方で、現在の企業のあるべき姿として「新たな働き方」に関する、企業としての在り方、働いている従業員の健康保持は強く意識しています。

―――そのような現状認識の中で企業の継続、持続性はどのようにお考えですか?

吉田 ひと言でいえば、悩みとか葛藤といったものは考えたことがありません。目の前の現実と将来のあるべき姿を見極めて、考えていくことが大事だと思います。自社の経営課題を分析し、その解決策としてどのようなことが一番、適切であるかを考えることが重要です。ビルメンテナンスの場合は、発注者の多種多様な要望・要求に応えつつ、課題を解決するのは本当に苦労があります。

一番の課題は価格転嫁です。さまざまな国際情勢から仕入れ価格等が高騰し、経営への影響が表面化しています。環境が変化する中にあっても事業を継続させるためには、同じ価格設定による利益を削るだけの考え方は限界を迎えていると思います。
ビルメンテナンス業界はどうしても「請負」です。これまで発注者の意向を汲んで暗黙の了解でそれに従うことが商慣習として成立していたことは間違いのない現実の姿であったと思います。しかしながら、どこかのタイミングで価格転嫁をしなければ企業は存続できません。変化に対応してピンチをチャンスに切り替えるようなアクションを起こさなければ、成果を出ません。

だからこそ、発注者に真摯に交渉することが必要です。そのように考えると例えば法改正にしろ、中央省庁の動向などを全国協会がホームページなどを通じて発信していることは大変に助かっています。


―――価格転嫁というお話しがありましたが、どのように進めておられますか?

吉田 当社はすべての取引があるお客さまにお話ししています。これは企業の存続に関わることだという意識からです。
全国協会が開催した、公正取引委員会・中小企業庁から講師を招いたオンライン説明会に参加しました。取適法(正式名:中小受託取引適正化法)が、改正されて、受託側が不利な条件を一方的に押し付けられないよう、委託側による不当な行為に関する規制が強化されていることは知っていましたが、代金の支払遅延・減額・一方的な価格決定・手形払い等についても具体的に解説していただき、大変にわかりやすかったし、改めて当社の活動が間違っていないことを実感しました。

―――国が施策として価格転嫁を推進していますが、御社の状況は如何でしょうか

吉田 全国協会が作成したパンフレットに自社の現状などを添えた資料を作成し、ほとんどの取引先に交渉して回答を得ています。パンフレットはすごくインパクトがあったと感じています。業界の現状が的確に表されており、交渉する際の資料として有効に使わせていただいています。

我々ビルメンテナンス企業が事業を継続していくためには、発注者である「親事業者」に対して経費の上昇分を取引価格に適切に転嫁するための「価格交渉」が欠かせません。事前に準備した客観的かつ合理的なデータを提示しながら、交渉をしています。
価格交渉の経緯については、その都度、文書化するように心がけています。議事録の作成や共有が難しい場合には、打ち合わせメモとして「間違いがあるとご迷惑をおかけするので確認させてください」と、取引先に伝えて、交渉の経緯をまとめるようにしています。

―――最後に、今後の企業のあり方とビルメンテナンス業界の活動についてお聞かせください。

吉田 多種多様な要望にいかに向き合うかが大事だと思います。ビルメンテナンス業界は労働集約型産業で、サービス原価に人件費の占める割合が高いことは他社も含めて同じ状況だと考えています。またサービス面での差別化が図りにくい傾向にあることも認識しています。景気が悪くなると価格競争が激しくなるなど、収益性が景気に左右される傾向にあります。

だからこそ、ビルメンテナンス業界の立ち位置を人とした上で、問題解決後に実現したい姿、目指すべき姿を明確にする必要があると思います。いろいろなことを伺い、その中から判断していく必要があります。なによりも社員がいて、その働きを理解していくことが大事だと思います。そういった自社のあるべき姿を知ることは、現状とのギャップを知り、次に進むべき必要な要素を特定するのに役立ちます。

やはり大事なのは、社員の働き方に目を配り大事にしていかなければならないということだと思います。ひとり一人の社員に家族があり、その背景は多種多様です。社員にしろお客さまにしろ、その人の立ち位置に立ってこそ、その人の気持ちもわかるということはずっと社訓として言われてるので、そのことは大切にしようと思います。