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いまさら聞けないChatGPT(生成AI)講座 第5回

2025/05/20 09:00

ブルーオーシャンも見つかる「攻め」の使い方

ChatGPTは業務効率化を図るために有効であることは前回までの内容でお分かりいただけたと思います。
今回は、ビジネスで攻めの戦略にChatGPTを使う方法の例をご紹介いたします。
「生成AIでコンサルがいらなくなった」というフレーズをどこかで見たり聞いたりしたことがあると思いますが、これは誰でも体験できます。
今回のコラム作成途中で、このビルメンテナンス業界のブルーオーシャンも見つかりましたので最後までお読みください。
ChatGPT等の生成AIを一般的なビジネスで攻めの活用ができる例を一覧にまとめました。(図1)

戦略目的 活用場面 期待される成果
新規顧客開拓 ・ペルソナごとの営業トークスクリプト作成
・DM/メルマガのABテスト自動化
アプローチ数の最大化、反応率向上
市場開拓・海外展開 ・現地語での営業資料翻訳・ローカライズ
・異文化対応のFAQ生成
グローバル展開の加速
新規事業の構想・検証 ・アイデアの壁打ち・競合分析
・市場仮説の構築と顧客セグメント設計
新事業の立ち上げスピード向上
コンテンツマーケティング強化 ・SEO記事の草案作成
・SNS向けバズ狙い投稿文案作成
トラフィック増、ブランド認知拡大
プロダクト改善 ・ユーザーの声を分析して改善案を提案
・FAQの自動生成
顧客満足度アップ、離脱防止
営業スクリプトの最適化 ・商談内容の自動要約とフィードバック
・業種別・ニーズ別スクリプト自動生成
成約率の改善、若手営業の即戦力化
プレゼン資料のスピード作成 ・キーワードからスライド構成を生成
・資料の要点まとめ
資料作成の時短、提案力の向上

図1:生成AIをビジネスの攻めに活用する方法

さらにビルメンテナンス業界での活用法に絞った一覧表もまとめました。(図2)

戦略カテゴリー 活用内容 目的/効果
① 新規営業の強化 ・業種別・建物別に最適化された営業トークスクリプト生成
・顧客の課題に合わせた提案書草案の自動作成
アポ取得率・成約率の向上、営業スピードの大幅UP
② 見積・提案の高速化 ・建物情報(用途・規模・築年数など)から清掃/警備/設備の最適プラン・と料金案を自動生成 提案の差別化、見積作成の時間短縮、若手でも提案可能に
③ マーケティング強化 ・自社サービスの強みを引き出すブランディング文案作成
・LINE/SNS用の投稿文章を自動生成
認知拡大・信頼感向上、地域密着での顧客接点強化
④ 入札支援・RFP対応 ・官公庁や大規模施設の入札要項を要約し、提案内容のドラフトを作成 入札業務の負担削減、採用される確率の向上
⑤ 新規サービス開発 ・高齢者施設向け・医療施設向けなどの「業種特化型パッケージ」開発支援・新業態アイデアの壁打ち 差別化された新事業創出、ブルーオーシャン攻略
⑥ クロスセル提案 ・既存顧客に「警備+設備」など複数サービス提案文案を自動生成
・ニーズ予測に基づく提案テンプレート作成
顧客単価アップ、リテンション向上
⑦ 顧客ニーズ分析 ・問い合わせ履歴や点検報告書をAI分析 → 顧客ごと不満/要望を抽出 潜在ニーズの発掘と先回り提案が可能
⑧ 多言語営業対応 ・外国人オーナーや管理者向けの提案書・メール・説明文を英語や中国語で自動生成 インバウンド/海外不動産顧客の獲得
⑨ Webサイトの最適化 ・ChatGPTで「SEO向け業種ページ」の草案作成・問い合わせ獲得導線の文案を高速生成
問い合わせ件数UP、業種検索での上位表示
⑩ プレゼン資料作成 ・営業訪問や自治体向け説明会用のスライドをキーワードから作成 提案資料の作成時間大幅削減、表現力アップ

図2:ビルメンテナンス業界で攻めの活用法

今回は、初心者でも扱える内容に絞って攻めの活用法の具体例を取り上げます。

1. Deep Research(ディープリサーチ)

まず、マーケティングなどを行うときには、業界が置かれている状況を調査することから始めるでしょう。
その手助けとなるのがDeep Research機能です。
Deep Researchは読んで字の如く、深く調べる機能で、様々なネット上の有益な情報を探し出し、結論をまとめてレポートにしてくれます。
Deep Research機能は有料プランで使えますが、現時点では月額20ドルのPlusプランで1か月あたり25回、月額200ドルのProでは回数制限なしで利用可能です。

それでは実際の使い方を実演いたします。

チャットの入力欄下にあるDeep Researchボタンをクリックして、調べたい内容を文章で入力して送信します。(図3)


まず、「日本のビルメンテナンス業界での人手不足の影響について現状分析と5年後の予測をしてください。」と指定してみました。
すると、ChatGPTは「ビルメンテナンス業界における人手不足の影響について、特に関心のある側面を教えていただけますか?」と的を絞るように返答してきました。
ここでは「現状の問題点は幅広く、5年後の予測はテクノロジー導入を中心に予測してください」と指示を出します。(図4)

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ChatGPTは問題点を整理し、分析内容の方向性を決めて予測するための調査に入ることを表示してDeep Research機能が本格的に動き出しました。(図5)

ChatGPTは様々なサイトを訪問して判断材料を集めて、現実に起こっている社会問題がネットで話題になっていることを調べ、それらの原因や解決方法などを考えて、5分間の長時間の動作後に、レポートにまとめてくれました(図6)


この結果内容は右上のシェアボタンからリンクをシェアできます。(図7)(図8)

※Deep Research の結果ページはこちらからもご覧いただけます。

完成度の高い1万文字以上もの長いレポートにまとめてくれました。
レポートの最下段の「情報源」をクリックするとサイドバーが表示され、情報源のリンク(図9)とアクティビティ(ChatGPTの時系列の動き(図10))が確認できます。

ほんの数分でこれだけの調査結果をまとめてくれる人が今までいたでしょうか? 
優秀な秘書が手に入ったように感じるかもしれません。

ChatGPTのDeep Research機能は、複雑な調査や比較検討が必要なタスクに非常に効果的で、競合分析や市場調査、取引先や顧客の企業調査、製品・サービスの比較検討、新規事業やアイデアの検証、特許情報の調査、専門分野の背景理解などに役立ちます。

情報の網羅性と正確性については、最終的には人が責任を持って扱いましょう。例えば、法律関連の調査では、最新の判例を見落とすなどの課題も報告されています。

このDeep Researchはたいへん有益な機能ですので、大いにビジネスに役立てていただければと思います。

2. 企業理念も ChatGPT が助言

日々の細かな作業の手助けとなるChatGPTですが、マーケティング活動や、最上流の「企業理念」レベルで考えることにも役立ちます。
まず、「ビルメンテナンス業でのマーケティングでのChatGPT活用法」ということで調べていた結果、ChatGPTがこのように返答しました。(図11)


なんと、ブルーオーシャンを見つけてしまいました!!

様々な要素が回答されましたが、それらを一つの表にまとめてみました。(図12)

分野 活用方法 内容
営業資料・提案書の作成支援 提案書の自動作成 物件種別に応じた提案書をカスタマイズ生成
導入実績のストーリー化 ビフォー・アフターの改善説明を自動生成
価格・サービス比較表の作成 競合との差別化ポイントを整理した比較表を作成
Web・SNSプロモーション ホームページのコピー作成 SEOを意識した会社概要・サービス紹介・実績ページの文案生成
SNS投稿ネタの企画 「清掃Tips」「設備点検の豆知識」など信頼感を高める投稿案を提案
LINE公式アカウント文章 点検案内・清掃報告など顧客向けメッセージを自然な文体で自動生成
チラシ・DM・パンフレット チラシのキャッチコピー 地域密着や低価格などの訴求に合ったコピーを提案
サービス紹介文 「日常清掃と定期清掃の違い」など分かりやすく業務説明文を生成
顧客ターゲット別の文面 不動産会社・病院など顧客ごとに適した文案を出し分け
顧客対応・営業支援 見積り説明補助文 専門用語をやさしく解説した営業トーク用の説明文を生成
メール文の自動化 挨拶・見積・アフターフォローなど営業メールのテンプレ作成
クレーム予防・対応文案 誤解防止やトラブル時の丁寧な対応文例を自動生成
業界ブランディング強化 コラム記事の執筆補助 定期清掃の意義など、専門性のある記事の草案を生成
代表挨拶文の作成 企業のミッションや価値観を明確に伝える代表メッセージを生成
リクルート向け紹介文 「働く人の声」「現場の魅力」など採用に向けた紹介文をGPTで作成

図12:マーケティングへの活用例

さらに企業理念についても深堀りしてみます。 ChatGPTは企業理念の3構成要素について出力してくれました。(図13)

要素 内容 例(ビルメンテナンス業)
ミッション(使命) なぜ存在するのか、何のために事業をしているのか 「人々の安心・安全・快適な空間を支える」
ビジョン(目指す未来) 将来どうなりたいか、社会にどう影響したいか 「建物維持管理の新しいスタンダードを創る」
バリュー(価値観) 日々どのように行動するか、判断基準となる価値 「誠実・迅速・清潔・継続改善」など

図13:企業理念の作り方

理念作成のための様々なポイントを教えてくれます。(図14)


そして、最後はサンプルまで提示してくれました。(図15)

3. パートナーとして呼び寄せる

いかがでしょうか、立派な調査レポートを書いてくれたり、高い企業理念を編み出すためのヒントをくれたりと、驚くべきコンサル能力です。AIが人に取って変わられる職が多くなるということは、こういうことを指しているのです。

至れり尽くせりのChatGPT、ポテンシャルを引き出すのは「質問力」です。
生成AIは普段からコツコツと小さく試していくと、慣れれば大きな問題にも対応するコツが掴めてきます。
ChatGPTが出現したのは2022年の11月でした。「乗り遅れた」と感じている人も、まだまだ挽回の余地があります。
この先、AIエージェント時代が実用的段階に突入していきます。この段階で当連載のスキルはすべて身に着けて追いついておきましょう。
あなたの隣にいる凄腕のパートナーとしての生成AIを大いに使いこなしてください。

※この記事にはChatGPTで生成された内容が含まれます。

【本記事は連載の第5回です。これまでの回もあわせてご覧ください】
第4回:「経費節約」につながる使い方
第3回:「ChatGPTに質問する」、「ChatGPTの各種機能・画面解説」
第2回:「ビジュアル機能」と「ビジネス活用での注意点」
第1回:生成AIのChatGPTって何?

【著者紹介】

杉山 貴思(すぎやま たかし)


【現職】G-word(グッドワード)代表
【肩書】次世代人工知能学会副会長/ソブリンAIプロデューサー/ビジネスコンサルタント

ChatGPT 等の生成AIを中心にテーマとして全国で登壇活動をこなす。衆議院会館や国連大学、早稲田大学、学習院大学、山形大学等で登壇し、生成AIのデモンストレーションが参加者から好評。国内初の(一社)日本情報技術協会認定AIプロデューサーで企業・組織のイノベーションを指導する実力者。複数の大学教授らとのAI研究に参加。ECコンサルタントとしても多数の実績がある。小冊子やハンドブック、雑誌コラムなど執筆もこなす。YouTubeに最新のビジネス情報を公開し、大学関係者や企業家等から好評を得ている。
【Webサイト】
https://www.g-word.jp/
https://ameblo.jp/g-word