パート採用を勝ち取る3ステップ!予算をかけずに選ばれるための鉄則
「時給をアップしても応募が来ない」「結局また条件を上げるしかないのか」そんな行き詰まりを感じているビルメンテナンス企業は少なくありません。しかし実際には、時給以外の工夫によって、予算をかけずに応募を増やしている企業も存在します。
本記事では、工夫次第で応募率を高める方法と、採用を成功に導くための3つのステップについて、具体的に解説します。
●時給アップ合戦から一歩抜け出すために
人手不足が続く中、「応募者を集めるには時給を上げるしかない」と考えがちですが、時給の引き上げ戦が続けば、いずれ限界が訪れます。実は、別の切り口で他社との差別化を図ることができるのです。
例えば主婦(主夫)層やシニア層なら、時給以外に「自分の生活に馴染むか」を重視する傾向があります。仕事から一定期間離れている人なら「自分にできる仕事かどうか」が気になる点です。また「人と接する仕事は避けたい」と感じている人にとって、対人対応の少ないビルメンテナンス業務は検討しやすい仕事です。運動不足を感じている人にとっては、「適度に身体を動かせる」という表現そのものが、健康維持という魅力として感じられるでしょう。
このように求職者の不安解消やメリットへのアプローチは、わずかに時給を上げるよりも応募につながりやすくなります。
●ステップ1:求職者が安心する「求人原稿」を作る
このステップでは、求職者が仕事内容や働くイメージを具体的に思い描けるようにするための求人原稿の作り方を、「作業内容の可視化」「具体的なメリットの提示」「写真による安心感の提供」という3つのポイントで解説していきます。
・作業内容を可視化する
求人原稿において、作業内容の「可視化」は応募率を左右する最重要ポイントです。「清掃業務」「管理業務」といった抽象的な表現は、求職者に「きつい仕事ではないか」「自分には難しいのではないか」といった先入観を抱かせ、敬遠される原因になります。 読んだ人が自社で働く姿を1分でイメージできるように、具体的に記述しましょう。 例えば「清掃業務」と一言でまとめず、次のように分解して記載しましょう。
・場所を絞る 「3階建てビルの共用部(廊下・階段)」
・動作を書く 「モップがけ、トイレ2か所の清掃」
・数を示す 「ゴミ回収(1フロア3箱程度)」
このように「場所・動作・数」などを具体的に示すことで、「自分にもできそうだ」という安心感を与え、「まず話を聞いてみよう」という行動につながりやすくなります。
・具体的なメリットを書く
時給や時間といった条件面だけでは、他社との差別化がしにくくなります。求職者の心を動かすには「この仕事で自分の生活がどう良くなるか」というプラスアルファの価値を伝える必要があります。 例えば次のように、ターゲット層の生活に結びつけた表現を盛り込みましょう。
・対人ストレスの少なさ 「接客がなく、一人で黙々と進められる」
・健康へのメリット 「適度な運動になり、働きながら健康維持ができる」
・私生活との両立 「決まった時間に終わるから、家事や趣味の時間も確保」
また「未経験でも可」という言葉だけで終わらせず、「最初の3日間は先輩が横について教えます」「マニュアル通りに進める決まった作業です」と未経験の人のサポート内容を添えてください。 こうした「安心感」と「自分にとってのメリット」をセットで示すことで、求職者の関心を高めることができます。
・写真で安心感を伝える
ネットや求人誌においては、写真の有無がクリック率や応募率を左右します。ぜひ安心感をビジュアル化しましょう。
・「現場」の写真で環境を伝える

清掃の仕事に対して「大変な現場ではないか」と身構えてしまう求職者もいます。清潔感のあるロビーや整った共用部の写真を載せ、「ここなら気持ちよく働けそう」という安心感を与えます。
・「スタッフ」の写真で親近感を作る

求職者にとって「実際にどんな人が働いているか」は大きな関心事です。スタッフが笑顔で働いている、職場の温かい空気感を伝えます。
・「動作や道具」の写真で難易度の低さを伝える

「難しい機械操作があるのでは?」という不安を消すために、掃除機を片手で軽々と扱っている様子や、日常で使い慣れた道具で作業している写真を載せることで「これならできそうだ」という確信に繋がります。
●ステップ2:無料・低コストで露出を最大化する
このステップでは、採用コストを抑えながら求人情報をより多くの求職者に届けるため、「ハローワークの活用」「求人検索エンジンの利用」「自社ホームページやSNSの整備」という3つの方法について解説します。
・ハローワークを徹底活用する
ビルメンテナンス業界において、ハローワークは馴染み深く利用しやすい窓口です。完全無料で求人を掲載できるため、採用コストを抑えたい企業にとって、活用すべき強力な手段です。 現在は「ハローワークインターネットサービス」により、求職者が窓口に行かなくてもスマートフォンやパソコンで手軽に求人を検索できるため、ネット・窓口の両面で効果を発揮します。 ハローワークでの採用成功のポイントは以下の2点です。
1.情報の鮮度を保ち、露出を増やす
ハローワークで検索する人の多くは、「新着順(受理日の新しい順)」に並び替えて求人をチェックします。掲載から時間が経つとリストの下の方へ埋もれてしまうため、1ヶ月程度で一度内容を見直し、再掲示(更新)することが大切です。 単に日付を新しくするだけでなく、「今、特にこういう人に来てほしい」「最近入ったシニアスタッフも活躍中」など、その時々の状況に合わせて情報を書き換えることで、求職者に状況や熱意がリアルに伝わります。
2.職場の魅力を分かりやすく具体的に伝える
求人票が具体的であればあるほど、スマートフォンなどで検索している求職者の目に留まりやすくなります。また窓口で相談した際も、職員が自信を持って求職者に合うポイントを紹介しやすくなります。 ハローワークの求人票では、仕事内容欄や求人に関する特記事項欄などを使って、情報を分かりやすく具体的に記載しましょう。
| 項目 | ポイント・記載例 |
|---|---|
| ①仕事内容 |
働く姿が浮かぶ言葉で表現する 例:【60代活躍中!】マンション共用部の拭き掃除 |
| ②対象となる人材像 |
「採用の実績」も掲載する 例:未経験から始めた50代・60代が多数在籍中 |
| ③働きやすさ |
負担の少なさを具体的に記載する 例:重い機材なし。家庭用の掃除機やモップ等で使い方も簡単 |
| ④特記事項 |
対人の心理的ハードルを下げる 例:対面での接客なし。自分のペースで集中して進められます |
・検索エンジンを利用する
最近はスマートフォンで仕事を探す人が多いため、求人検索エンジンの活用も効果があります。運営会社はさまざまですが、パート・アルバイト採用においては「Indeed」や「求人ボックス」などが代表的です。 検索エンジンは一般的に、有料枠を契約することでより多くの人に情報を届ける仕組みになっています。検索エンジンによってはハローワークの情報を自動で収集して無料で掲載することもありますが、このような無料枠は新しい求人にどんどん押し流されてしまいます。有料枠であれば検索結果の目立つ場所に表示され続けるため、応募数が増える可能性が高くなります。 有料枠の料金設定は、閲覧された分だけ費用が発生する「クリック課金」を採用しているものが多いですが、具体的な単価や課金プラン、最低予算などは運営会社や時期によって異なります。いずれも予算上限を自社で設定でき、採用が決まったタイミングで掲載停止が可能です。採用予算や緊急度に合わせて、利用してみると良いでしょう。
・自社HPやSNSを作成する
自社HPやSNSは、求職者が「応募しても大丈夫な会社か」を判断するための大切な情報源です。最近では、求人を見た人が応募前に社名を検索することも増えています。
ネット上に情報がない、あるいは内容が極端に少ないと、求職者は不安を感じて応募を辞めてしまいます。長く更新が止まっている状態も、実態が見えず「今は活動していないのでは?」と疑念がわきます。
自社HPやSNSでは会社概要や事業内容、所在地などを明確にし、継続的な更新により日々の活動の様子が少しでも伝わるようにしましょう。「常に動いている会社であること」が見えるだけで安心感は高まります。社内で自社HPやSNSの担当者を決めて、無理のない範囲で継続的に運営する体制を整えましょう。
●ステップ3:スピード感を持って採用する
採用活動では条件や媒体選びだけでなく、どれだけ早く丁寧に対応できるかも結果を左右します。ここでは、採用機会を逃さないために意識すべき3つのスピード対応のポイントについて解説します。
・「応募=採用確定」ではない
応募があったからといって、油断しないようにしましょう。多くの求職者は複数の企業に同時応募し、対応の早さや印象を比較して就業先を決めています。そのため、「もう少し様子をみて、検討してから連絡しよう」という構えでは、他社に先を越されてしまいます。 応募はスタートラインに過ぎないと考え、求職者の意欲がもっとも高い「応募直後」を逃さないよう、迅速かつ誠実な対応を心がけましょう。
・24時間以内のレスポンス
採用におけるスピード感は、企業への信頼に直結します。時間が経つほど意欲は下がり、「後回しにされている」という不安が辞退を招きます。一方、即座の連絡は安心感を与え、面接設定率を大きく高めます。 24時間以内を目安に応募者に連絡し、離脱を防ぎます。社内調整に時間がかかる場合でも、随時状況の連絡を入れましょう。
・電話・メールの第一印象
応募者への最初の電話やメールは企業の第一印象を決定づけます。丁寧で分かりやすい対応は「安心して働けそうな会社」という信頼を生み、面接への意欲を高めるだけでなく、採用後の定着率にも大きく影響します。 社内の対応のバラつきを防ぎ、誰が対応しても誠実な印象を与えられるよう、ルール共有や教育を徹底しましょう。
●まとめ:自社の魅力を正しく伝え、選ばれる会社へ
採用活動では、具体的で分かりやすい原稿づくり、情報発信ツールの活用、そして応募後の迅速な対応が重要なポイントとなります。これらを整えることで、求職者に安心感を与え、自社の魅力を正しく伝えることができます。 ビルメンテナンス業界は、特別な経験がなくても、長く安定して働ける点が大きな強みです。まずは、求人票を見直し、「魅力を伝える内容になっているか」という視点で確認してみましょう。
木山美佳
株式会社キャリ・ソフィア代表取締役。国家資格キャリアコンサルタント。
大手総合人材会社、JAL系研修会社を経て2011年に独立。これまでに5万人以上のキャリア形成に携わる。著書に『自分から動く部下が育つ8つのパワーフレーズ』(同文舘出版)。
