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ドローンを活用したビルメンテナンスのご紹介

2025/12/16 10:00

2025年12月1日、山崎産業株式会社にて、株式会社TRIPLE7の協力のもと、ビルメンテナンス業務への活用をテーマとしたドローン技術デモを実施しました。

当日は、MATRICE 4TD、MAVIC 4 PROの2機体と自動運用ドックDOCK3を使用し、FlightHub2によるクラウド管理のもと、DOCK3による自動離発着および巡回ルートの自動航行、壁面点検(可視光・赤外線)、さらに空撮デモを実施しました。
あわせて、産業用機体の操作性を体感いただくため、国家資格モードでの操縦体験も実施しました。

※なお、自動離着陸や自動巡回といった自動航行機能については、実運用においては関係法令に基づいた事前の安全確認や、人的な監視体制を前提とした運用が必要となります。今回のデモは、あくまで技術理解を目的として実施したものです。

デモの内容

1.DOCK3による自動離着陸および巡回ルートの自動航行

自動運用のための基地(ドック)

DOCK 3はドローンを完全に遠隔運用するための自動離着陸・充電ステーションです。対応機体であるMATRICE 4TDを組み合わせ、FlightHub 2によるクラウド管理を通じて、ドローンが人の操縦なしに、あらかじめ設定したルートを自動で飛行できるシステムです。ドック内ではバッテリーの充電やデータのアップロードが自動で行われ、必要なタイミングになるとドローンが自動で離陸し、巡回飛行を行ったあと再びドックへ戻ります。

従来のように操縦者が常にスティック操作を行ったり、その都度現場へ出向いたりする必要がなくなるため、点検・巡回・監視といった業務を、同じルート・同じ条件で繰り返し実施できる のが大きな特徴です。
特に、広い工場敷地やビル外周の巡回監視、外壁の定期点検など、「毎回同じコースを飛ばしたい」ケースでは、運用の手間と負担を大きく減らせると感じました。

2.壁面点検(可視光・赤外線)

ドローンで撮影した 赤外線サーモグラフィによる外壁の温度分布

続いて、外壁を対象とした可視光カメラ・赤外線カメラによる点検デモを行いました。上の画像は、ドローンで撮影した 赤外線サーモグラフィによる外壁の温度分布 を示したものです。赤外線診断では、目視では分からない外壁内部の異常を、非接触・短時間で“温度差”として可視化できます。
ビルメンテナンス業務において、こうした赤外線サーモグラフィ診断は、従来の打診や目視中心の点検を補完・強化する手段として非常に有効です。外壁の温度分布を可視化することで、これまで確認が難しかった、
・タイルやモルタルの浮き
・断熱材の欠損
・含水による劣化の兆候
などを短時間で把握でき、点検の精度を高めることができる と実感しました。
なお、赤外線撮影は外壁内部の異常や劣化の「兆候」を把握するための手法であり、最終的な劣化判定や補修判断については、画像解析や他の調査手法と組み合わせて行うことが前提となります。

3.操縦体験(GPSモード)

最後に、参加者の方々にも実際にスティックを握っていただき、位置をGPSで自動固定するGPSモードでの操縦体験を行いました。私も実際に操縦させていただきましたが、画面で見ているときのイメージよりもはるかに繊細な操作が求められ、正直かなり難しく感じました。
参加者の皆さまも同じようにスティック操作に苦戦されており、「思った方向にピタッと止めるのが難しいですね」「自動航行がどれだけ助けになるかよく分かりました」といった声が聞かれました。

一方で、自分の手で機体を動かしてみることで、産業用ドローンの操作感や、実際の現場でどのように活用できそうかといったイメージを、より具体的に持っていただけたように感じます。

おわりに

今回のドローン技術デモを通じて、ドローンと赤外線サーモグラフィ、そして自動航行システムを組み合わせることで、「安全性の向上」と「省力化・効率化」を同時に実現しうる技術であること を、私自身も改めて実感しました。

今後も、会員の皆さまにとって有益となる最新技術や具体的な活用事例を継続的に紹介し、ビルメンテナンス業界の安全性向上と業務効率化に役立つ情報を提供してまいります。