この街の未来のために。競争ではなく、共生をしていく
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株式会社 クロス・サービス
代表取締役社長:岡部 純二 氏

―――株式会社クロス・サービスについて教えてください。
岡部 当社は1971年10月、「愛媛ビル管理」という社名でビルメンテナンス業をスタートしました。翌年には社名を「クロス・サービス」に変更し、1987年には病院給食の請負業務、1995年には介護事業を開始しています。
現在も当社の三本柱である「ビル総合管理事業部」「フードサービス事業部」「福祉事業部」となっています。
私は8年前に義父から事業を引き継ぎ、二代目社長に就任しました。
―――岡部さんは、こちらの会社で働く前からビルメンテナンス業界にいらっしゃったのですか?
岡部 実は、まったく別の業界からビルメンテナンス業界に入りました。小さい頃から車が好きで、物心ついたときから「車屋になる」と決めていたんです。学校を卒業後、車業界で働いていましたが、妻と出会い、さまざまな経緯を経てクロス・サービスで働くことになりました。
入社後、ビル総合管理事業部で、ワックスがけや害虫防除作業など、さまざまな業務を経験しました。
その後、フードサービス事業で飲食店を立ち上げることになり、立ち上げスタッフとして従事しました。
―――車関係の仕事からビルメンテナンス、さらにフードサービスと、働く環境が大きく変わっていますが、大変だったことはありますか?
岡部 前職の車関係の仕事とビルメンテナンスは、一見まったく違うようで、実は共通する部分も多いと感じています。ビルメンテナンス、特に清掃は建物をきれいにする仕事ですが、車も同じで、分解清掃することで不具合が解消されることもあるんですよ。
また、車にはエアコンや電装品などが搭載されていて、言ってみれば「生活空間が移動している」ようなものです。そう考えると建物にとても近い存在で、ビルメンテナンスの清掃業務や電気・機械関係についても、馴染めたんだと思います。
私はどこでも根を張って生きていけるタイプかもです。飲食店の立ち上げ時、スタッフになったときも、新しい環境を前向きに捉え、楽しみながら働くことができていました。
―――ところで、クロス・サービスさんは警備や人材派遣会社など、幅広い関連会社を展開されていますが、人手不足についてはどのようにお考えですか?
岡部 どの業界も同じだと思いますが、人手不足はやはり深刻です。ただ、事業を継続していくためには、求人にはしっかりと費用をかけ、人材を増やしていく必要があります。現在も、その点には継続的に取り組んでいます。
一方で、既存事業を守りながら新たなビジネスチャンスを生み出していくためには、会社としての「想い」や「地域との関係性」を、これまで以上に外部へ発信していくことが重要だと考えています。
最近は、さまざまな場面で学生の方と話す機会がありますが、「給料が高くて休みが多い会社」だけが選ばれる時代ではなくなってきていると感じます。むしろ、「働くことで自分が認められる」「必要とされていると実感できる」ことを重視する方が増えているのではないでしょうか。
だからこそ、働く会社そのものが地域から認められていなければ、そうした価値観を持つ人材を採用することは難しい。現在は、その土台づくりとして、企業理念やスローガンの再構築にも取り組んでいるところです。
―――企業理念・スローガンを再構築中とのことですが、どのようなイメージをお持ちですか?
岡部 当社は、地域の生活インフラに関わる事業が多い会社だと感じています。ビルメンテナンス、福祉、給食といった分野で、実は地域の皆さんのすぐそばで仕事をさせていただいており、私自身も「この街の未来のために」という想いを持って日々働いています。
地域の方から弊社で「親戚や知り合いが働いている」といった話を聞くことも増えてきました。だからこそ、今働いている従業員が、親戚やお子さんに「うちで一緒に働かない?」と自然に声をかけられるような会社づくりが必要だと考えています。
そして、先ほどもお話ししたように、地域に必要とされる会社であり続けることが、これから先も会社を継続していくために欠かせません。そうした想いを企業理念やスローガンに反映させ、再構築していきたいと考えています。
―――岡部さんは、愛媛ビルメンテナンス協会だけでなく、さまざまな団体で活動されていると伺いました。その背景には、どのようなお考えがあるのでしょうか。
岡部 愛媛県中小企業団体中央会青年部協議会や、商工会議所青年部などの活動にも、関わってきました。私自身の根底に、「この街の未来のために」という想いがあり、それは生き方としても、また仕事においても大切にしている思いです。
地方の中小企業やビルメンテナンス業界も同様ですが、地域の課題解決に向き合えない企業や団体は、これから先、生き残っていくことは難しいと感じています。だからこそ、会社や、関わる団体の活動においても、この想いを軸にしていきたいと考えています。
また、ビルメンテナンス業界においては、同業他社と協力し合い、共生していくことが非常に重要だと思っています。建物オーナーにとってより良い提案を行うためにも、チームとして取り組んでいけたらと考えています。同業者同士の結束力があるのは地方ならではの強みですし、愛媛県の生活インフラを守るためにも、業界全体で共に歩んでいきたいですね。
―――最後に、今後会社をどのようにしていきたいですか?
岡部 生活インフラを守り、その地域の雇用を支えるという役割は、これからも変わらず必要とされるものだと思っています。ビルメンテナンスや福祉、給食といった事業は、決して目立つ仕事ではありませんが、地域の皆さんの暮らしを下支えする重要な仕事です。まずは、そうした役割を担う企業として、これから先も地域に必要とされ続ける存在でありたいですね。
一方で、現状を維持するだけでは、会社も地域も先細りしてしまうと感じています。そのためには、新しいビジネスにも積極的に挑戦していく必要があると考えています。ただし、それは自分のためや利益を追求するためだけのものではありません。地域が元気でなければ、働く人もいなくなり、お客さまも減ってしまいます。
だからこそ、地域の課題に目を向け、「この街をより良くするために、会社として何ができるのか」を常に考えながら事業に取り組んでいきたいと思っています。社員一人ひとりが自分の仕事に誇りを持ち、地域からも認められる。そんな会社を目指しながら、これからも挑戦を続けていきたいです。

Corporate Information
- 株式会社 クロス・サービス
- 〒791-1102 愛媛県松山市来住町1458番地4
- TEL: 089-958-7001(代表)
- 代表取締役社長:岡部 純二 HP:https://cross-service.co.jp/
