7月は熱中症対策の「重点取組期間」、死傷災害を出さない備えを

2022.06.29 17:00 更新

職場における熱中症で、昨年は約20人が亡くなり、527人が4日以上仕事を休んでいます。その死傷災害の8割以上が7・8月の2か月間で発生しており、真夏の現場がどれほど危険か容易に想像できるでしょう。
気象庁発表の3カ月予報(7月~9月)では、今年も全国的に気温は高い傾向で、沖縄や奄美はほぼ平年並みと予想されています。
熱中症のリスクが高まるこの時期、厚生労働省では「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施し、次の3つの対策を講じるように重点的に呼びかけています。

1.WBGT値の実測
2.暑熱非順化者の把握
3.緊急時の対応体制の整備

WBGT値(暑さ指数)の実測が必要な理由は?

まず着手したいのがWBGT値(暑さ指数)の実測です。
昨年の死亡災害20件では、日頃からWBGT値を実測していたケースが5件のみでした。
WBGT値はご存じのとおり、気温・湿度・風速・輻射熱を総合的に考慮した数値で、運動や作業の強度に応じた基準値が定められています。
なかでも気をつけたいのが湿度で、WBGT値が28(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加します。気温が25度でも湿度が高ければ、暑さ指数(WBGT値)は28度ということもあるので注意が必要です。
湿度が高い場所では汗が蒸発しにくく、対処のタイミングや服装、本人の体調等の条件により病態は刻々変化し、室内にいても本人が気づかないうちに発症してしまう可能性があります。
実際に死傷災害の21.9%が明らかに屋内で作業していたと考えられています。

ここがポイント!WBGT 値の把握と評価

一般的なWBGT値では個々の状況は反映されないため、数値の把握は、日本産業規格に適合したWBGT指数計による随時把握を基本としたいところ。
特に直射日光下における作業、炉等の熱源の近くでの作業、冷房設備がなく風通しの悪い屋内における作業では、実測での判断が必要となります。環境省や気象庁が発表している熱中症警戒アラートなども役立てて、早期発見につなげられる体制を整えておきましょう。

暑熱非順化者の把握を

次に取り組みたいのが、暑熱非順化者の把握です。
昨年の死亡災害でも、暑熱順化が不十分とみられる事例が20件中9件ありました。とりわけ入職直後や夏休み明けは要注意! 暑さの中での作業に身体が慣れていないため、7日以上かけて、熱へのばく露時間を徐々に長くしていくことが望ましいとされています。


ビルメンテナンスのように通年採用を行う業界では、新人と他の社員を分けて、計画的な暑熱順化プログラムを組むことも必要でしょう。夏休み明けは暑熱順化が不十分になりやすいため、WBGT値に応じて、作業の中断、短縮、休憩時間の確保を徹底しましょう。

さらに年代別のデータでは、65歳以上における死傷年千人率は25~29歳の約3倍になるといいます。高齢ワーカーが多い現場では、健康状態の確認や水分や塩分摂取の徹底だけで終わらせず、異変があれば救急隊への要請をどうするか、病院の把握や緊急時の対応も含めてしっかりと確認しておきましょう。
休憩中の状態の変化にも注意。少しでも異常を認めたときは、ためらうことなく病院に搬送を!


また、今夏は熱中症防止の観点から、屋外でマスクの必要のない場面では、マスクを外すことが推奨されています。屋外の現場では人と十分な距離(少なくとも2m以上)を確保し、マスクの着用がなくても作業ができるよう作業計画を立て、作業方法も検討しておきましょう。


熱中症対策の専用ポータルサイトを活用しよう

7月は熱中症対策の「重点取組期間」。期間中に重点的に教育を行うことは、職場の仲間を守ることにもつながります。対策を強化したくても手元に資料がない、最新情報がわからない、そんな時は専用のポータルサイトを活用しましょう。

厚生労働省では、労働災害防止団体などと連携し、熱中症予防に関する周知・啓発に必要な資料やオンライン講習動画などを公開中です。動画は5分~15分程度の短い内容なので、すきま時間に正しい知識を学ぶことができます。

またサイト内では、熱中症対策が確実に実施できているか確認できるチェックシートをまとめたリーフレット(PDF)も掲載しています。
熱中症は重症化すると死に至るケースがありますが、対策を徹底すれば防ぐことができます。厳しい暑さとなる梅雨明け直後は特に気を引き締め、周知徹底に努めましょう。

参考にしたいポータルサイト「職場における熱中症予防」