- 2015年度
- 2016年度
- 2017年度
- 2018年度
- 2019年度
- 2020年度
- 2021年度
- 2022年度
- 2023年度
- 2024年度
2015年度(平成27年度)
「ビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドライン」策定
公共建築物の発注者に維持管理の視点を浸透
「公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)」は、2014年6月の改正により、「公共工事の品質は、完成後の適切な点検、診断、維持、修繕その他の維持管理により、将来にわたり確保されなければならない」ことが基本理念の一つとして明確に位置付けられた。すなわち、公共建築物においては、新たな建設のみならず、建設後の維持管理の重要性が法的に宣言されたことになる。
この基本理念を受け、2015年6月10日に厚生労働省より「ビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドライン」が策定された。本ガイドラインは、ビルメンテナンス業務における発注関係事務の運用に関する固有の事項について、具体的かつ実践的な運用の指針を示したものである。
一方、1970年(昭和45年)に議員立法で制定された「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」では、ビルメンテナンス事業者の質の向上を図り、日本の公衆衛生を世界のトップクラスへと押し上げた。しかしながら、その一方で、過度な低価格競争が横行し、業務品質の低下や、従業員の賃金悪化といった課題が残存していた。
こうした状況を踏まえ、ビルメンテナンス業界においては、ダンピング受注の排除や、担い手の中長期的な育成・確保を通じた健全な市場形成が重要な課題とされた。
全国協会は、こうした社会的要請に応えるべく、ガイドラインの策定に積極的に関与し、2021年度、2023年度、2025年度には、社会情勢の変化を踏まえた改正にも携わってきた。今後も、全国協会は、ガイドラインの普及を通じて適切な発注を推し進める。
2016年度(平成28年度)
ビルクリーニング技能検定を単一等級から複数等級へ
清掃技術の高度化に伴い、段階的な技能習得を図る
1982年(昭和57年)に国家検定資格となった「ビルクリーニング技能士」。全国協会は、厚生労働大臣指定試験機関として、ビルクリーニングのプロフェッショナルを60,000人以上輩出し、技能士は業界を牽引してきた。
時が経ち、建築仕上げ材の多様化、清掃資材や資機材の変化、さらに高齢者や障がい者など多様な人材の活躍も進む中で、誰もが資格取得にチャレンジし、技能を高められる資格制度が求められるようになった。
そこで、2015年5月、厚生労働省に単一等級から複数等級への変更申請を行い、2016年度より1級、2級、3級、基礎1級、基礎2級(のちに基礎1級と基礎2級は基礎級に統合)の等級で、新たなスタートを切った。3級は、実務経験0年でも受検が可能であり、若年層の業界参入促進や離職防止などが期待される。
また、技能実習生の技能習得を確認する試験としても活用され、日本人・外国人材ともに、日本のビルクリーニング技能を現場で磨き、技能士の称号を目指して努力を重ねている。近年では、特別支援学校の生徒による受検も増加しており、今後ますます多様な人材が活躍する社会に本制度が活用されることを期待する。
2017年度(平成29年度)
ビルクリーニング技能実習生の受け入れが本格始動
ベッドメイク作業が可能に、ホテルの現場で大活躍
2016年4月、外国人技能実習制度における技能実習2号移行対象職種に「ビルクリーニング」が追加され、我が業界における技能実習生の受け入れが本格的にスタートした。実習生の国籍は、ベトナムが最も多く、インドネシア、ミャンマーと続いた。
しかし、運用開始当初は、ホテル客室のベッドメイク作業やアメニティ交換が除外作業とされており、実際のホテルの現場での活用には制限があった。全国協会は、厚生労働省と協議を重ねた結果、2017年5月にベッドメイク作業等が正式に認められ、実習の幅が大きく拡大した。
その後、2019年3月には、技能実習3号が整備され、受け入れ期間が3年から5年へと延長された。2020年には、新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテル稼働率の低下や入国制限により一時的に受け入れが減少したものの、今では全国各地で多くの若い実習生が活躍し、現場の生産性の向上、活性化にも寄与している。入国後1年目に受検する基礎級試験では、決して十分とは言えない日本語で学科試験と実技試験に挑む実習生の眼差しが印象的である。
2027年には、開発途上国への技術移転を目的とした現行の技能実習制度が発展的に解消され、人材育成と人材確保を目的とした育成就労制度の施行が予定されている。今後も業界全体で協力し、優秀な外国人材に選ばれる産業を目指して、模索と努力を続けていかなければならない。
ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO 新たな同業・異業種交流の場を
規模が拡大され、毎年の開催に
全国協会が1991年以降、隔年で主催していた「ビルメンヒューマンフェア」は、2017年11月に(一社)日本能率協会が主催する「クリーンEXPO」と融合し、「ビルメンヒューマンフェア&クリーンEXPO」にリニューアルされた。以降、毎年秋に東京ビッグサイト(東京都江東区)を拠点に開催している。
従来のフェアに比べ、異業種の展示会を併設することで、様々なステークホルダーがビルメンテナンスを通じて交流できる機会として、毎年来場者数が10,000人を超える一大イベントへと進化している。
清掃資機材の展示はもちろんのこと、近年は人手不足、デジタル改革(DX)の進展を背景に、清掃ロボットやIT関連分野の出展も増加している。なかでも本催事の目玉である「全国ビルクリーニング技能競技会」は、長らく1級技能士が清掃技術の腕を競う場であったが、2025年には「ビルクリーニングサービスグランプリ」と名称も新たに、これまでの清掃技術に加え、サービス業の本質であるビルクリーニングの顧客価値を競う大会に進化した。
2018年度(平成30年度)
会員交流の場へ、開かれた全国協会へ
岐阜県(2018年)を皮切りに会員交流会を定例化
毎年、東京で行われてきた全国協会の定時総会。全国の会員を代表とする代議員に出席を求め、事業報告・決算の審議、役員の選任を行ってきた。しかし、代議員のみならず、より多くの会員に全国協会事業に直接参加していただける機会を設けたいという思いから、総会にあわせて会員交流会を催すことに決定した。
2018年7月の第1回会員交流会(岐阜都ホテル)を皮切りに、開催地のビルメンテナンス協会の協力を得ながら、隔年で地方を巡る開催となった。2020年は新型コロナウイルス感染症の影響で延期となったが、2年遅れの2022年に第2回会員交流会(JRホテルクレメント徳島)、2024年に第3回会員交流会(ホテルメトロポリタン仙台)を開催。各地の文化に触れ、銘酒と郷土食に舌鼓を打ち、全国協会の役職員、会員同士の親睦を深める貴重な機会となった。第4回は2026年に広島で開催される。今後も、全国の会員とつながる場を大切にし、地域との絆を深めながら、誰もが参加しやすく、身近で開かれた全国協会を目指す。
人手不足が深刻な産業として、ビルクリーニングが特定技能の対象に
手探りで進めた東・東南アジアでの試験運営
生産性向上や国内人材確保に取り組んでもなお、深刻な人手不足に直面する産業に対し、一定の技能を持つ外国人材の就労を認める特定技能制度が2019年4月にスタートし、ビルクリーニングも対象になった。
特定技能1号の在留期間は、通算5年。ビルクリーニングの技能実習3年を経て移行すると、計8年間、日本での就労が可能となる。本制度は、募集しても現場の従業員が集まらず、受注停止や事業規模縮小を余儀なくされた企業にとって、大きな朗報となった。
本制度の推進にあたり、全国協会は2019年11月に日本国内の主要都市で、ビルクリーニング特定技能1号評価試験を行うほか、東・東南アジア各国での試験運営に挑戦した。2019年12月にはミャンマー・ヤンゴンのホテルを会場に、日本から試験官6名が清掃資機材を持ち込み、初めて国外試験を行った。その直後、新型コロナウイルス感染症の影響で渡航が困難となったが、タブレット端末で作業試験を録画し、日本で動画審査する方式に切り替えることで、試験を継続した。その後、試験国・試験回数を順次拡大し、特にインドネシアでは募集開始数時間で定員に達するなど大きな反響を得た。
2025年3月には、作業試験を伴う集合方式からピアソン社のCBT方式に変更し、試験実施国は16カ国に拡大した。毎日、多くの受験者が各国で試験に挑んでいる。
2019年度(令和元年度)
三笠宮寬仁親王妃信子殿下が全国協会の名誉総裁に
公益性の高い組織として、我々業界の士気が高まる
1992年に横浜市で開催された「第9回世界ビルメンテナンス大会」では、寬仁親王同妃両殿下にご臨席いただき、また、2016年の「第21回大会」でも寬仁親王妃信子殿下のご臨席を仰いだ。全国協会関係者のみならず、世界各国から参加した来賓も感銘を受けた。
全国協会は、日本の誇りである「安心」「安全」「快適」を提供し続けることを使命とし、ビルメンテナンスを通して「人と社会を元気にする仕組みをつくる」を理念に掲げ、役職員一同、会員とともに邁進してきた。
そして、2019年7月の定時総会において定款の改正を行い、寬仁親王妃信子殿下に全国協会の名誉総裁に御就任いただけたことは、全国協会にとってこの上ない名誉であり、組織の公益性や業界全体の士気を一層高める契機となった。
新型コロナウイルス(COVID-19)との闘い
緊急事態宣言下、エッセンシャルワーカーとして事業継続に挑む
2019年末、中国武漢市において原因不明のウイルス性肺炎が発生し、2020年1月には国内でも新型コロナウイルス感染症の患者が確認された。2009年の新型インフルエンザ(H1N1)とは異なる深刻さの中、2020年4月には日本初の緊急事態宣言が発令、社会経済活動が大きく制約を受け、多くの人がこれまでとは違った生活を強いられた。
全国協会は、感染症の最新情報を発信し、試験・講習の延期、感染拡大防止を施した講習会、オンライン会議の導入などにより、サービス利用者の理解を得ながら事業を継続した。一方、ビルメンテナンス事業者は、政府により「エッセンシャルワーカー」として位置付けられ、事業継続が求められた。高齢者が多い我が業界では日常的に緊張感が続いた。
全国協会は、「施設内における交差感染を防ぐ・従業員が感染を広げない・従業員が感染しない」を目的に、「ビルメンテナンス業における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」を策定し、会員に基本的方針を示した。特に病院清掃など感染リスクの高い現場を持つ会員とその従業員は、大変な苦労があったことは想像に難くない。会員は、取引先の事業停止や縮小、感染症に罹患した従業員の人員調整対応、現場での感染拡大防止など、多くの困難に直面しながらも、約3年3か月に及ぶ未曽有の試練を乗り越えた。
2020年度(令和2年度)
コロナの教訓を活かし、感染制御衛生管理士認定講習会(ICCC)スタート
新たな新興感染症に備え、エッセンシャルワーカーとしての責務を果たす
新型コロナウイルス感染者数が増減を繰り返す中、病院では、医療提供体制が限界に達し、一部地域で「医療崩壊」が起きた。全国協会が厚生労働省の要請により会員に調査したところ、コロナ禍で病院清掃や消毒業務を提供できる企業は決して多くはなかった。
こうした状況を受け、全国協会では既存の教育メニューを見直し、新興感染症に備えて、全ての従事者が「感染しない、感染させない」ことを基本方針に、清掃における感染制御のスペシャリストの育成を目的として、感染制御衛生管理士(Infection ControlCleanliness Crew:ICCC)認定講習会の申し込みを2021年4月に開始した。本講習会では、平常時から防護具の正しい知識を学び、実践を通して、緊急事態に備える。ICCC修了者は、病院では院内感染対策チームの一員として、その他のビルでは感染制御のトップスペシャリストとして、日本の衛生環境を支える存在になることを期待したい。
2021年度(令和3年度)
清掃作業監督者講習。初のオンライン提供
オンライン講習で、会員の利便性を追求
建築物衛生法の事業登録に必要な監督者講習。これまでは、集合形式でのみ行われ、開催のない地域の受講者には移動費や宿泊費、時間的な負担が大きかった。
全国協会は、こうした課題を解消し、全国の会員が平等に学べる機会を提供するため、2020年12月17日に厚生労働大臣登録機関として認められ、清掃作業監督者講習(新規・再)のオンライン化を実現した。オンライン講習は、自宅や職場から参加でき、受講スケジュールも都合にあわせてカスタマイズできる。また、学んだ内容の振り返りや復習も容易で、受講者ひとり一人の理解を深める仕組みである。
この取り組みにより、遠方の会員も移動負担なく参加できる環境が整うとともに、自然災害時や感染症の流行時においても教育機会を維持することが可能に。業界全体の生産性向上や人材育成に貢献する意義は大きく、全国協会の象徴的な取り組みとなった。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会。選手村ハウスキーピング業務受注
異例尽くしの大会を陰から支える
2018年に東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会への業務協力が組織内で決定され、翌2019年には、ビルメン事業共同企業体(訓練センター、全国協会、東京協会、神奈川県協会、千葉県協会、埼玉県協会、茨城県協会によるJV)を結成。2020年の大会開催に向けて協力会員を募り、着実に準備を進めてきた。
しかし、2020年3月24日、国際オリンピック委員会および日本政府は、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受け、大会の1年延期を決定した。
その後、関係各所において計画や業務の見直し、感染対策の徹底などの準備が進められ、2021年夏、ついに開催を迎えた大会は、デジタル配信への転換や無観客での実施、競技会場や選手村で入念な感染対策が行われるなど、前例のない形で行われた。
そうした中にあっても、JVは「最高の笑顔とサービスによって、世界トップレベルの衛生的で快適な居住空間を提供する」目標を掲げ、2021年7月1日から9月8日までの間、選手村等においてハウスキーピング業務を提供し、大会を陰から支えた。
業務終了後の9月28日には、東京都台東区の浅草ビューホテルにて、(公財)東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長・橋本聖子参議院議員も列席のもと、業務を遂行した企業や資機材を提供した企業に対する感謝状贈呈式を開催した。
「月刊ビルメン」から「ビルメンWEB」にリニューアル
紙からWEBへ。情報発信のスピードアップ!
全国協会の発足と同時期から月に1回発行していた「月刊ビルメンテナンス」誌(のちの「月刊ビルメン」)。法改正情報や最新資機材の紹介、経営に役立つ情報などを、協会事業の告知とともに発信してきた。
しかし、デジタル化が進む中で、よりタイムリーに、より多くの情報を、より多くの人へ届けることができるメリットを鑑み、2021年9月、紙媒体中心の発行体制を見直し、電子媒体「ビルメンWEB」へとリニューアルした。
現在は、ほぼ毎日のように記事が更新されており、ビルメン業界関係者のみならず、多くのユーザーがアクセスするビルメンテナンス業界の情報拠点として定着しつつある。
2022年度(令和4年度)
世界ビルメンテナンス連盟発足。日本の一戸氏が初代会長に
世界との交流のあり方を模索し続けた数年
2017年9月、ドイツ・ベルリンで開催された「第22回世界大会」以降、新型コロナウイルス感染症の影響により、海外のビルメンテナンス業界との交流機会は失われた。
しかし、コロナ禍だからこそ、各国それぞれの「安全」と「衛生」に関する文化を共有することの重要性が一層高まり、世界との新たな交流の場の創出を模索した。こうした背景のもと、日本が主体となり「世界ビルメンテナンス連盟(World Federation of Building Maintenance Association)を設立し、新たな「世界ビルメンテナンス大会」を企画することになった。
第1回大会は、コロナ禍の影響により他圏の国々からの参加は見送られたものの、世界連盟の設立と大会趣旨に対しては各国から賛同が寄せられた。
これにより、2022年10月11日、スウェーデンのストックホルムにて「設立記念式典」が執り行われ、初代会長に選任された一戸隆男氏が所信を述べ、ここに「世界ビルメンテナンス連盟」が発足した。
環境配慮契約法基本方針にエコチューニングの法的位置づけが強化
ビルメンテナンスがエコチューニングを通じて持続可能な社会に貢献
エコチューニング制度の創設から6年が経過した2023年2月24日、「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律(環境配慮契約法)」に基づく「国及び独立行政法人等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する基本方針」の変更が閣議決定された。この変更により、国や独立行政法人、地方自治体等の公共機関が、建築物の維持管理に係る契約においては、エコチューニング等を活用し、エネルギー消費量のデータ計測・分析と、その結果を踏まえた運用改善を実施事業者に求めることが明記された。
「求めるよう努める」ではなく「求めるものとする」と表現されたことは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた国の強い意志を示すものである。
発注者である公共機関にとっても、エコチューニングは「設備更新に頼らず、既存設備の運用改善によって省エネを実現できる」有効な手段として注目されている。限られた予算の中で持続的な削減効果を得られる点は、財政面でも大きな利点となっている。
今後、エコチューニングは環境配慮と省エネを両立させる“持続可能な維持管理”の中心的な取り組みとして、社会的な期待がさらに高まっていくだろう。
2023年度(令和5年度)
内閣官房・公正取引委員会にて「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」策定
構造的な賃上げを実現するため、 適切な価格転嫁に向けた取り組み強化
政府は、中小企業等が物価上昇等に伴う賃上げの原資を確保するためには、コスト上昇分を適切に転嫁できる環境整備が必要として、2023年11月29日、内閣官房・公正取引委員会の連名で、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表した。同指針では、12の行動指針が示されており、発注者から価格を提示されるのを待たずに受注者自ら希望する額を提示することが求められている。また、11月2日には「デフレ完全脱却のための総合経済対策」も閣議決定されており、国等によるサービス(ビルメンテナンス、警備等)について、資材価格の高騰、賃金上昇等の転嫁を進めることが明記された。他にも、ビルメンテナンス業務の公共調達における建築保全業務労務単価の活用に関する通知や、最低賃金額改定を見据えた契約金額の変更について通知が発出されている。
これにより、従来は発注者からの価格提示を前提としていた取引について、国が受注者側から希望価格を提示するよう求めたことは、ビルメンテナンス企業にとって大きな後押しになっている。
2024年度(令和6年度)
ビルクリーニング特定技能2号評価試験。日本語のハードルを乗り越えて
外国人材が日本語の問題文を読み、日本語で解答を書く
2023年6月9日にビルクリーニング分野が特定技能2号に追加された。「特定技能2号」は特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人材の在留資格であり、「技術・人文知識・国際業務」 をはじめとする、他の専門的・技術的な在留資格と同格であり、相応のレベルを求める必要がある。
特定技能2号への道には、特定技能2号評価試験と技能検定1級の2つがある。技能検定1級の実技試験は職人としての清掃の腕を評価するのに対し、2号評価試験の実技試験はマネジメント能力を問う。現場責任者として、作業管理、労務管理、安全衛生管理や、従事者教育、人事管理などを総合的に理解し、実践できるかが評価のポイントだ。そのため、試験は記述式で行うこととした。
全国協会は試験機関として、2024年5月より特定技能2号評価試験を実施。2026年1月現在、29名の合格者が誕生している。合格率は、平均10%台と容易ではないが、受験者は所属企業の厚い支援と大きな期待を受けながら、日本語の壁を乗り越え、ビルクリーニングの未来を担う存在として一歩を踏み出している。
「ビルメンテナンス業における価格転嫁に向けた自主行動計画」の策定と推進
全国協会、地区協会、会員企業が各々の役割を果たし、一体となって価格交渉へ
「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を受け、業界全体で取り組みを促進するため、全国協会は2024年6月に「ビルメンテナンス業における価格転嫁に向けた自主行動計画」を策定し、会員に価格交渉の積極的な行動を呼び掛けた。
ビルメンテナンス業は労働集約型産業であり、人件費が経費の8割前後を占めるため、人件費の高騰は企業経営に直結する死活問題である。そのため、経営者は、受託契約における適正価格の確保を自社の経営戦略の一環として位置づけ、現場の安全・品質を守りつつ、適切な価格を交渉することが求められる。
2024年度の価格交渉の結果は報告書として取りまとめ、厚生労働省、中小企業庁、公正取引委員会、ビルメンテナンス議員連盟などに提出した。政府の強力なバックアップを背景に、受託者が自らの希望額を提示した価格交渉が当たり前に行われる状況を目指す。
経営者が主体的に交渉に臨み、全国協会・地区協会と連携することで、業界全体の健全な経営基盤と、現場で働く従業員の適正な処遇を確保する。
ビルクリーニング技能検定、学科試験・実技ペーパーテストをCBT方式に変更
受検者の利便性を確保し、技能検定への挑戦をもっと身近に!
ビルクリーニング技能検定の学科試験・実技ペーパーテストは、これまで全国統一日に、地区本部所在地をベースとして集合方式で行われてきた。全国約3,000人の受検者を収容できる主要都市の試験会場には多くの受検者が集まり、会場は熱気にあふれていた。しかしながら、試験会場までの移動時間やコスト、他の日に変更できないなど、不便さもあった。さらに、新型コロナウイルス感染症の対応では、ソーシャルディスタンス確保のため、会場の手配に苦労することもあった。
こうした課題を解消するため、2024年度より全国協会は集合方式からCBT方式に変更した。CBTとは、Computer-BasedTestingの略で、パソコンに出題される問題をマウスで解答し、運営は、専門のCBTサービスを提供する会社に委託して行われる。
受検者のメリットは多岐にわたる。全国47都道府県にテストセンターがあるため、移動時間・コストの大幅な削減、都合のよい日時を選択できる、予定変更にも柔軟に対応できる。全国協会は同年に行われたビルメンヒューマンフェアのブースや、ビルメンWEB上でCBT体験コーナーを設けるなど、受検者が安心して受検できるよう準備を整え、スタートを切った。
