
ハウス美装工業株式会社 専務取締役 新谷 稔様 市原 克美様
(取材:2025年12月)
ハウス美装工業は、従業員数約650名を擁する香川県高松市のビルメンテナンス企業です。
地方における人手不足が深刻化する中、約10年前から外国人材の受け入れを進め、現在は約40名近くが在籍しています。
国籍はベトナムとインドネシアが中心です。
在留資格は、ベトナム人の特定技能6名・技能実習6名、インドネシア人技能実習20名のほか、ベトナム人正社員1名、インドネシア人留学生アルバイト1名、配偶者・家族滞在など複数名と、多様な構成となっています。
ホテル清掃を軸に勤務時間を組み立てる
主な業務はホテルの客室清掃(ベッドメイク)とオフィスビル清掃です。
ホテル清掃はおおむね8時半〜14時頃までの5〜6時間勤務が中心となります。
そのため、1つの現場だけでは1日8時間の就労を確保することが難しく、
早朝のオフィス清掃や商業施設清掃を前後に組み合わせることで、勤務時間を構成
しています。
シフトは本社で1週間単位の枠組みを作り、できるだけ固定化
しています。ベッドメイクについては、現場責任者が当日の予約状況を見て割り当てを行います。
また、医療施設や一般ビルでは顧客の要望により日本人社員とペアで作業する体制を取る場合もあります。
品質や顧客理解を踏まえながら、段階的に運用
しています。
事前研修と母国語指導による品質確保
配属前には、
全国協会のDVDを活用した基礎清掃研修
と、
自社研修センターでの実技訓練
を実施しています。
ベッドメイクは現場で母国語による指導
を行い、先輩スタッフが実務を通じて教育します。
仕上がりの確認は日本人管理者が行い、品質を担保
しています。
日本語力向上については、勤務時間が分散しているため集合研修が難しく、
毎月テーマを決めた作文提出と添削指導を実施
しています。
住環境整備と高い定着率
住居は全件会社が手配し、本社近隣に配置しています。緊急時に迅速に対応できる体制を整えています。
外国人材の定着率は高く、約10年の運用の中で、期間途中に他社へ転職した例は1名程度にとどまっています。多くは期間満了による帰国であり、
日本人よりも定着率が高い可能性もある
といいます。
地方では都市部より賃金水準が低いものの、
生活基盤を築いた地域で働き続ける
傾向も見られます。
制度と地方現場の構造的課題
一方で、地方特有の難しさもあります。
外国人材は月給制・フルタイム勤務を前提とする雇用形態が一般的です。しかし
地方では短時間現場が多く、8時間分の業務を安定的に確保することが容易ではありません。
さらに、制度上従事できる業務がビル清掃・客室清掃に限定されているため、周辺清掃業務へ柔軟に振り分けることが難しいという制約もあります。
同社では複数現場を組み合わせることで対応していますが、地方ビルメンテナンス業界全体にとっては共通の課題といえます。
地域環境づくりへの視点
同社では、外国人材を「労働力」ではなく「
地域で生活する人
」として捉える視点も重要だと指摘します。
医療・防災・生活ルールの多言語対応など、行政を含めた受け入れ環境の整備が今後の定着に影響する
と考えています。企業単体の努力だけでなく、
地域全体として住みやすい環境を整える
ことが、将来的な人材確保につながります。

現場から見た今後への視点
清掃業務における外国人材の必要性は、現場レベルでは強く感じています。
特に地方では、
人材不足が事業継続に直結する
問題になっています。
一方で、現場努力だけでは対応しきれない部分も増えています。
制度転換や他業界との人材獲得競争を見据え、業界全体での環境整備が必要だと感じています。
まとめ
ハウス美装工業の取り組みからは、
・地方におけるフルタイム雇用の組み立ての難しさ
・ホテル清掃を軸にした業務組み合わせ型運用
・母国語指導と現場チェックによる品質管理
・住環境整備と高い定着率
・制度と現場実態の間にある構造的課題
・地域全体での受け入れ環境整備の重要性
が読み取れます。
企業データ
ハウス美装工業株式会社
香川県高松市藤塚町三丁目12番12号
従業員数:約650名
外国人材人数:40名



