地方ビルメンテナンスにおける代務体制と外国人材受け入れの実践

大成ビルサービス株式会社 大福亜里紗様 入船様
(取材:2025年12月)

大成ビルサービスは、売上高16億2千万円、従業員数530名を擁する鹿児島県のビルメンテナンス企業です。県内各地で管理現場を展開していますが、慢性的な人手不足が続き、約30か所で欠員補充が困難な状況が生じていました。
日本人採用を継続してきたものの応募は限られ、現場の安定運営を維持するための人材確保策として外国人材の受け入れを開始しました。コスト削減を目的としたものではなく、 事業継続のための対応 という位置づけです。

受け入れ状況と配置の考え方

これまでにミャンマー出身の女性技能実習生を受け入れています。1期生2名は3年間の実習を修了し、現在は2期生3名が研修段階にあります。
雇用は本社採用とし、 特定の現場に固定せず、人手不足が生じている管理現場へ代務要員として配置 しています。業務は主に日常清掃で、勤務時間は朝7時から夕方4時前後が中心です。 女性スタッフが不足している水回り清掃などで重要な役割 を担っています。

現場受け入れと運用の工夫

受け入れ当初は、日本語理解の不足により現場指導に時間を要しました。その経験を踏まえ、 一定の日本語コミュニケーションが可能な状態を確認してから配置する運用 へと改善しています。
また、 事前に現場責任者へ説明を行い、受け入れへの理解を得た上で配置 を進めています。顧客側からの大きな抵抗はなく、挨拶の徹底が円滑な受け入れにつながりました。

日本語教育と育成

実習生はN4レベルで入国します。社内では ひらがなからの基礎練習 に加え、 清掃現場で使用する専門用語 を中心に教育を実施しています。 洗剤やモップなどの用語をイラスト付き教材で学ぶ など、実務に直結する内容を重視しています。
業務の空き時間を活用した 書き取り学習 も行い、実務と学習を両立させています。 特に挨拶教育は重点項目 として位置づけられています。

定着を支えた関係構築

社内では責任者、実習指導員、生活指導員、役員が連携して支援を行っています。
1期生に対しては、 担当責任者が日常的に相談に応じ、日本の行事や食文化を共有するなど、生活面でも寄り添う 姿勢を取ってきました。実習生が責任者を「おとうちゃん」と呼ぶようになるなど、 信頼関係が形成 され、無遅刻・無欠勤で実習を修了しました。
一方で、支援が特定の担当者に依存していた面もあり、現在は組織的に継続できる体制づくりを進めています。

住居環境から得た学び

1期生ではワンルームを仕切って2人で居住する形を採用しましたが、 生活音やプライバシーの問題から人間関係の摩擦が 生じました。
その経験を踏まえ、2期生では個室を確保できる住居へ変更しています。 生活環境の整備が定着に直結する ことを実感したといいます。

制度運用と今後の視点

技能実習制度と特定技能制度では在留資格の運用が異なり、企業としては制度変更を踏まえた人材戦略が求められます。
受け入れには管理団体費や生活支援費などが必要となり、必ずしも低コストとは言えません。それでも、 人手不足が深刻な地方においては、外国人材は現場維持に不可欠な存在 となっています。

まとめ

大成ビルサービスの取り組みからは、
・地方における慢性的な人手不足への対応としての受け入れ
・代務体制での柔軟な配置運用
・日本語教育と挨拶徹底による顧客理解の獲得
・「おとうちゃん」と呼ばれる関係性に象徴される伴走型支援
・住居環境改善など実体験からの運用見直し
・制度を踏まえた継続的な体制整備の必要性

が読み取れます。

企業データ
大成ビルサービス株式会社
鹿児島県鹿児島市樋之口町11−22 大福不動産ビル
売上規模:16億2千万円
従業員数:530名

外国人材人数:5名

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