先輩育成と生活フォローが循環する少人数体制

持続未来株式会社 管理部 山本友也様 谷様
(取材:2026年2月)

持続未来株式会社は、売上約13億円、従業員約340名のビルメンテナンス会社です。外国人材の受け入れは2019年に開始され、現在は技能実習生5名、特定技能4名(うち2号1名・1号3名)の計9名が在籍しています。全員がベトナム人で、さらに配偶者ビザのフィリピン人1名、中国人1名を含めると、外国籍従業員は計11名となります。受け入れ人数は決して多くありません。しかし、だからこそ一人ひとりに向き合う運用が可能になっており、同社の外国人材活用は「少人数・密着型」といえる特徴を持っています。

官公庁・オフィスビルを中心とした安定配置

外国人材の配置先は、県庁などの官公庁施設、オフィスビル、病院です。ホテル清掃は行っていません。県庁に2名、病院に1名、その他はオフィスビルに配置されており、いずれもフルタイム勤務が中心です。現場によっては6時半から15時半の早番もありますが、概ね7時から16時、8時から17時といった安定した勤務体系です。
配置にあたっては、 人数の多い現場や責任者がしっかりしている現場を選んでいます。 これは、外国人材を 特別扱いするというよりも、自然に溶け込める環境を整える という考え方です。実際、 急な欠勤はほとんどなく 、勤務面は安定しています。
顧客からの理解についても大きな問題はありません。 挨拶と愛嬌、基本的なコミュニケーションができていれば受け入れられています。「珍しがられてかわいがられることが多い」 といった話題もあり、現場での関係性の良さがうかがえます。

教育は制度よりも現場。OJTと先輩の力

持続未来では、外国人材向けに特別な集合研修や独自プログラムを設けているわけではありません。教育の中心は現場でのOJTです。 各現場の責任者や先輩従業員が日常業務の中で教え、分からないことはその都度確認するという形 を取っています。
特に大きいのは、1期生の存在です。 初期メンバーが真面目に働き、現場で信頼を築いたことで、その姿勢が後輩へと自然に引き継がれて いきました。 「先輩が教え込んでくれている」というムード が生まれ、今では会社が強く指示を出さなくても、 現場内で育成が循環する 仕組みができています。
文化の違いについても、一度に教え込むのではなく、その場で伝える という方針です。食事中の姿勢や公共の場での声の大きさ、エレベーターではお客様を優先することなど、日本では当たり前でも本人たちにとっては初めての習慣もあります。そうした違いは、その都度注意しながら少しずつ修正していきます。 「ここは日本だからこうする」という説明を重ねることで、無理なく理解を促しています。

生活面を支える「お母さん」の存在

同社の大きな特徴が、生活指導を担う谷(たに)氏の存在です。外国人材からは「お母さん」と呼ばれています。 業務上のフォローだけでなく、病院への同行や銀行手続きのサポート、確定申告の補助、日常の相談対応まで幅広く支援 しています。
寮はもともと会社が保有していた物件を活用し、2DKを使って1人1部屋を確保しています。特定技能2号取得者については借り上げ社宅へ移行し、より広い住居を用意しています。 受け入れ当初は近隣から騒音に関する指摘がありましたが、すぐに謝罪と指導を行い、現在は問題なく、地域からも「真面目だね」と評価 されています。
谷氏は、相談を受けるだけでなく、必要に応じて上長へ報告し、改善につなげています。 良いことも悪いこともすべて話せる関係性 が築かれており、この 心理的な安心感が定着を支える大きな要因 になっています。

定着の鍵は人間関係と目的意識

退職がまったくないわけではありません。しかし、山本氏は「 人間関係ができる前に辞める人はいるが、人間関係ができた人は辞めない 」という語り、定着の鍵は職場内の信頼関係にあるということを示しました。
また、 家族を支える責任や将来の目標を明確に持つ人材ほど長続きする傾向 があるようです。家を建てたい、子どもの教育費を稼ぎたいといった 具体的な目的を持つ人材は、残業も積極的に希望し、真面目に働く傾向 があります。面接ではそうした背景も重視しているとのことでした。

仕組みよりも関係性で回るモデル

現在、同社では大きな課題はほとんどないといいます。一時帰国時の人員調整が課題になることはありますが、先輩から後輩へと指導が受け継がれ、良い循環ができています。 帰国した人材が親戚や兄弟を紹介する ケースもあり、採用面でも信頼が広がっています。今後も、国籍に関わらず多様な人材が安心して働き、活躍できる会社づくりを目指しています。

まとめ

持続未来株式会社の取り組みからは、
・少人数でも安定的な運用が可能である
・現場OJTと先輩育成が機能すれば制度に依存しなくても回る
・「お母さん」と慕われる存在が心理的安全性を生む
・文化の違いは対話と即時指導で乗り越えられること

が読み取れます。
大規模化や高度な制度設計ではなく、「人と人の関係性」を軸に回るモデル。
少人数企業ならではの、密着型外国人材活用の好例といえるでしょう。

企業データ
持続未来株式会社
広島県広島市西区南観音8丁目10−28

売上規模:13億円
従業員数:340名

外国人材人数:9名

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