(取材:2026年1月)
株式会社信陽では、外国人材を「
グローバル・キャスト
」と位置づけ、育成と定着を重視した受け入れを進めています。全従業員435名のうち約90名、
現場人員の約24%を外国人材が占める
体制の中で、単なる人手補充ではなく、将来を見据えた育成型の運用を行っています。
特に、
NotebookLMなどのAIツールを活用
し、特定技能2号試験対策資料や多言語教材を社内で制作している点は特徴的です。
外部任せにせず、自社の現場に合った内容を内製化
することで、教育の質とスピードを高めています。
外国人材を将来の担い手として育てたい
企業にとって、実践的な示唆に富む事例です。
外国人材が組織の一部として働く環境
信陽では、外国人材はすでに現場運営に欠かせない存在となっています。国籍はミャンマー、フィリピンを中心に、中国、ネパール、モンゴルなど多国籍構成です。
業務は清掃業務を中心に、港区立幼稚園・小中学校14現場、大学キャンパス、オフィスビル、商業施設など多岐にわたり、
特定業務に限定せず、適性に応じて配置
されています。
現場に根付いた働き方と役割分担
学校現場では、朝7時の開錠から業務が始まり、登校前の清掃から1日を通して現場を支えています。
現場運営では、
日本人ベテランを「匠」、外国人材を「グローバル・キャスト」
と位置づけ、
ペアで配置
する体制を基本としています。
若手外国人材が機動力を発揮し、匠が技術や接遇、日本文化を伝える
形でOJTを日常化しています。
近年では、ネパール出身者が中学校の現場リーダーを務めるなど、
外国人材が責任ある立場を担う事例
も生まれています。学校現場では、
日本語能力以上に笑顔や人柄といった要素が重視
されるといいます。
外国人材を「育てる」ための考え方
外国人材を即戦力としてのみ扱うのではなく、
将来の中核人材候補として育成する
方針を取っています。その象徴が、特定技能2号取得に向けた社内対策研修です。
昨年6月から毎週金曜日18時~21時に研修を実施し、継続的に試験対策を行っています。試験対策は単なる資格取得のためだけでなく、
安全管理や衛生管理への理解を深め、現場力の底上げ
にもつながっています。

AIを活用した研修ツールの内製化
教育の質を支えているのが、
AIを活用した教材制作
です。
NotebookLMで資料を生成
し、特定技能2号対策資料や模擬試験問題を作成しています。
これらはタガログ語やモンゴル語へ翻訳され、
スマートフォンでも学習できる
環境を整備しています。さらに
動画コンテンツも制作
し、復習できる仕組みを構築しています。
単なる翻訳ではなく、漢字を分解して意味から理解させるなど、日本語構造に踏み込んだ指導も行っています。
現場で使われる言葉に即した教材づくりが、理解度の向上
につながっています。
定着を支える仕組みと風土
社内では「外人」という呼称を用いず、「
グローバル・キャスト
」と統一しています。特別扱いはしませんが、
対等な仲間として接する
姿勢を徹底しています。
外国人相談窓口を設置し、就業規則の多言語化や合同忘年会の開催などを通じて帰属意識を高めています。
問題が発生した際には迅速に対応し、小さな不安を残さない
ことを重視しています。

見えてきた課題と今後の視点
学校現場が多い同社では、清掃技術だけでなく、
人柄や安心感といった非認知能力が重要
になります。短時間の面接でその適性を見極める難しさがあります。
また、建設・飲食など他業界との
人材獲得競争が激化
しており、
採用コストや待遇設計のバランス
は経営課題となっています。
それでも、外国人材に「
日本に来て良かった
」と思ってもらえる環境づくりを目指し、
育成型の外国人材活用
を進めています。
まとめ
信陽の取り組みからは、
・外国人材を「グローバル・キャスト」として対等に位置づける文化づくり
・匠とのペア制によるOJT型育成モデル
・特定技能2号を見据えた計画的な育成
・AIを活用した多言語教材の内製化
・迅速な課題対応による信頼関係の構築
・教育現場特有の適性見極めと採用競争への対応
が読み取れます。
企業データ
株式会社信陽
東京都港区東麻布2丁目26番2号
売上規模:30億円
従業員数:435名
外国人材人数:90名



