ビルメンテナンスについて

2004年 第15回大会

 各国のビルメンテナンス業者が隔年で、一堂に会する世界ビルメンテナンス大会の第15回大会が、カナダ第二の都市・モントリオールで、2004年9月26~29日までの4日間にわたり開催されました。日本、アメリカ、英国など18カ国にある各国ビルメンテナンス協会で組織する世界ビルサービス連盟(WFBSC)が主催する本大会は、1979年のスイス・ベルンでの創立大会に始まり今回で15回目となります。
 今大会の参加者は14カ国から約400名に上り、(社)全国ビルメンテナンス協会は、今回も日本代表団(団長・狩野伸彌全国ビルメンテナンス協会会長)を組織して参加しました。
 カナダ協会の主宰による今大会は、「業界と人」をテーマに、モントリオール・コンベンションセンターを舞台に、9月26日夕刻の開会式で幕を開け、ビジネスおよび教育に関する5つのビジネスセッション、そしてゴルフや市内観光、ランチクルーズなどさまざまな催しを通じて、各国ビルメン人の情報交流・親睦が深められ、29日の閉会式そして最後の公式行事サヨナラパーティで、大会は成功裏に幕を閉じました。
 トロントに次ぐカナダ第二の都市・モントリオール市(ケベック州)は人口三百数十万人で、このうち日系人も含めると2千人の日本人が暮らしていると言われます。フランス語圏としては世界第三の都市で、その歴史は古く16世紀にさかのぼります。
 会場となったモントリオール・コンベンションセンターはダウンタウンに位置し、歩いてすぐに歴史的旧跡が点在する旧市街が広がっています。その旧市街は2年前の世界大会の開催地・スコットランドのエディンバラの旧市街を彷彿とさせます。前回の大会参加者にとってはどこか懐かしさを覚えたに違いありません。
 9月下旬のモントリオールは、郊外ではすでに秋が深まりつつあり、朝晩は冷え込みますが、日中日差しがあれば半袖でも十分暖かい。大会初日の9月26日も快晴で、その夕刻にいよいよ開会式が始まりました。開始前には各国参加者は2年ぶりの再会に握手を交わし、旧交を温めました。会場最前列には各国の連盟役員が着席、前日に代表団の結団式を行った日本人参加者の面々もそれぞれ席に着きました。
 ステージ上にモントリオールの町並みが映し出されたスクリーンの明るさだけで、会場はほの暗い。そこで突然、音楽とともにステージにドレス姿の女性が現れ、声量ある歌声で参加者を魅了しました。会場スタッフに尋ねたところ、その女性歌手の名はクリスチン・ウイリアムス女史とのこと。
 続いて、大会主催者としてマリオ・ルヴァセール連盟会長が挨拶し、「会議だけでなく、資機材展示会やゴルフコンペ、ガイドツアー、ダンスパーティそしてモントリオールの文化そのものを体験してほしい」と、歓迎の辞を述べました。
 この後は、アメリカインディアンの衣装を着けた一団が現れ、古い打楽器のリズムと咆哮に合わせた鳥や鹿など動物の舞が披露されました。開会式はこの後、大会スポンサーであるジョンソン・ディバーシー社の担当者の歓迎の辞、今度は趣を変え若い男女による軽快なフォークダンスがステージで繰り広げられました。最後に、今大会を準備してきたダニエル・マック大会議長および婦人に、先の女性歌手から労いの歌がプレゼントされ、最初の大会公式行事は無事終了しました。この後は会場後方に設けられたパーティ会場に移り、ワインを片手に談笑、明日からの会議に向けて英気を養いました。

 翌日の27日から前日の開会式と同じ会場で、会議が開始。会場は、円卓でステージ方向に椅子が設けられ、ゆったりとした体勢で聴講できました。開始時間は毎日8時半と少々早いですが、昼前に一度コーヒーブレイクがありました。日本人参加者たちは、同時通訳のレシーバを借りて、会議に臨みました。余談ですが、このレシーバを借りる際には、クレジットカードの番号を貸し出しカードに記入するか、カードそのものを預けなければなりません。そのような大事な物は預けられないと、病院の診察券などで済ます日本人参加者もいました。このような経験は、今大会が初めてでした。
 会議初日の27日の冒頭で、大会恒例の日本国厚生労働大臣の祝辞が披露されました。今回は、日本代表団の顧問でもある荒木仁司(財)ビル管理教育センター専務理事が代読し、万雷の拍手を浴びました(全文後掲)。
 会議は3日間で5つのセッションが組まれ、パネラーを含めると10名に及ぶ講師が登壇しました。講師の顔ぶれも斯業界人にとどまらず戦略アナリスト、学識経験者などが並びました。講演テーマは、世界経済の動向から労務管理、顧客重視のビルを取り巻く環境問題、経営責任者の役割、賃金・労働条件における労使協約を法令化したケベック州の例など、多岐にわたりました。
 この中で、講演最初のバラスキス博士(元カナダOECD大使・戦略アナリスト・経済学者)は、大要、次のように語りました。
 輸送・通信・情報技術の発達でグローバル化が進み、地球が小さくなっている。サービスの分野においても同様で、競争の舞台が世界になってきた。世界は富を創出してきたが、その富は平等に配分されておらず、勝者が総取りという現象になっている。一国内でも同様の傾向が見られる。各国政府は、雇用政策、所得の再配分政策などを行っているが、解決は難しくなっている。セキュリティや疾病の拡散などの問題も、一国での対応では難しく、グローバルな対応が求められる。一方で、政府よりも企業、NGO、市民団体などの勢力が強まっている。こうした中で企業において人をどう扱うか。アウトソーシングの進展、OA化・FA化、電子商取引の進展によって働く場が少なくなれば、人々の不満も高まりテロを引き起こす要因となり、何よりも購買力が下がる。一方、顧客満足、生産性という視点で考えれば、テープによる無人案内のように人間不在のサービスでは顧客の満足は得られない。人と人のつながり、すなわちチームワークを重視し、良いネットワークによって生産性が向上できる。勝者の金メダルだけでなく敗者にも参加したという名誉が与えられるオリンピック的資本主義が理想に挙げられる。すなわち、一人勝ちではなく誰もが勝つというアプローチ、全員が何らかの恩恵を受けられるような目標が必要であると、まとめました。
 また、カナダのジャレット博士は、ケベック州で導入されている、産業別組合と使用者との労使契約で定められた労働条件を同じ産業に従事するすべての労働者に適用させる労働協約(法令)制度について、概要を説明しました。同協約の拡大適用の目的は、従業員に公正な労働条件を保証するとともに、雇用者の賃金による競争を回避することにある。労使交渉で決められた賃金や労働条件に関する協定は、組合に加盟していない組織・企業も含むすべての同業種に適用される。これによって企業は、賃金や労働条件における他社との競争が避けられ、他社との差別化は品質面に向けられ、また、離職率の低下、作業員の熟練度向上、新規採用や教育訓練コストの削減などのメリットがあるとのことでした。
 この他の講演でビルメンに関連するものでは、ビルにおける環境問題がありました。今、米国をはじめ世界各国で、いわゆる「グリーンビル」への関心が高まっており、「グリーンビル=より人間の健康および環境を重視したビル」であることを評価認証する制度を世界グリーンビル協会が推進しています。同協会には米国、日本、カナダ、韓国、スペインなど10協会が加盟しているとのこと。ビル所有者にとって認証を得るには初期投資が必要ですが、そのために家賃が高くなってもテナントの入居率が上がり、最終的に収益をもたらしている。このグリーンビルの評価項目の3割を清掃に関するものが占めており、使用資機材や作業方法についても見直しが求められている。また。認証対象も新規ビルから既設ビルへと拡大しているとのことでした。
 大会最後の講演では、J.P.ポウリウ.フライ博士が、組織の上に立つ者(経営責任者・上司・チームリーダー)に必要な資質として、短い大会期間中に競技に集中し、好記録を出すオリンピック選手を例に挙げながら、目標達成のための課題の明確化とその達成のための日々の具体的な訓練(行動)、本番での精神の集中、感情コントールの大切さを訴えました。また、経営者(上司)は自尊心を捨て、部下の目線に立ち、積極的にコミュニケーションをとることで部下の考えていることを感じ取らなければばらない。人に仕事を任せることができなければ大きな組織を動かすことはできない。業績を上げることも大切であるが、周りの人々の成長にどれだけ支援できたかが、組織の上に立つ者にとって最も重要であると、まとめました。
 なお、前回大会から設けられたヤング・エグゼクティブ賞(*)の2004年度優勝者は、地元カナダのスコット・ハルクロウ氏(Hurley Group of Companies)が栄冠を射止めました。
(*)ヤング・エグゼクティブ賞
 ヤング・エグゼクティブ賞(若手経営者による優秀論文発表への授賞)は、前回2002年大会から設けられたもので、応募資格は①35歳未満、②ビルサービス(BSC)業で最低2年の勤務経験を有する青年、③ミドル、またはエグゼクティブ・マネジャー。応募要項は、主催者が指定するテーマを表題とする3,500語の論文の提出。審査手順は主催者側により応募論文の中から、決勝進出者(大会での発表者)を選考する。大会で決勝進出者がそれぞれ論文を発表し、会場からの質問などに答える。その後の最終審査によって優勝者1名を決定し、同賞を授与する。
 なお、今大会は、ポール・グラント(Consolidated Property Services Pty Ltd./オーストラリア)とスコット・ハルクロウ(Hurley Group of Companies/カナダ)の二人が決勝進出者として発表、審査の結果、地元カナダのハルクロウ氏が同賞の栄誉に輝いた。
 3日間にわたる会議も終わった29日午前10時半から、閉会式が執り行われました。冒頭、ルヴァセール会長は「これまで世界各地を訪問し、世界の文化に触れた。それらを今回お返しするチャンスを得た。グローバル化が進展する中で世界連盟をツールとして利用していただきたい。そのために、連盟内に若手による理事会の設置も提案している。業界が今後も発展するよう貢献していきたい。2006年にまたお会いしましよう」と、締めくくりました。
 続いて、2004-2006年までの連盟の理事が紹介され、全員登壇。理事として期間中任務を遂行することを右手を挙げて宣誓しました。日本からは金野徳三・全国協会国際委員会委員長が宣誓を行いました。さらに、2006年に開催される大会を主宰する韓国衛生管理協会の金有起(Kim Yoo Ki)会長が新連盟会長に任命され、同じく宣誓式が行われました。続いて英国のイアン・スチュワート前々連盟会長、ルヴァセール前連盟会長、金有起新連盟会長の3氏が壇上に並び、スチュワート前々連盟会長から大会に尽力したルヴァセール前連盟会長に記念の楯が贈られました。最後に、金有起新連盟会長が就任の挨拶に立ち、前役員にお礼を述べるともに「WFBSCのよりよい将来のために、会員各社密接な協力関係を築き、大会成功のために最善をつくしていきたい」と抱負を述べました。
 大会参加者はこの後、公式行事として午後にセントローレンス川ランチクルーズと、夕食会とダンスパーティを楽しみ、それぞれ翌日から自国への帰途につきました。 


 なお、次回大会は、2006年10月16~19日の4日間、韓国・ソウルのCOEX Convention and Exhibition Centerで開催されます。


第15回世界ビルメンテナンス大会
2004年-カナダ(モントリオール)
厚生労働大臣祝辞
 第15回世界ビルメンテナンス大会がここカナダ・モントリオールにおいて盛大に開催されますことを心よりお慶び申し上げます。また、私のメッセージを本日ここに御参集の皆様方に、さらに世界各国でビルメンテナンスサービスに携わっておられる方々にお伝えできることを大変光栄に存じます。
 建築物における環境衛生上の維持管理を適切に行うことは、人々の健康を守る上で非常に重要であります。近年、建築物は大型化、高層化、複合用途化が進み、これに従って維持管理の手法も高度になってきており、ビルメンテナンスに携わる方々の役割もますます大きくなってきているところです。
 我が国においては、1970年に制定された「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」及び関係者の方々の御努力により、大規模な建築物を中心に、その衛生水準が比較的良好に確保されてまいりました。
 しかしながら、近年においては、建材から放散される化学物質等による健康影響やアジアにおけるSARSの流行を踏まえた建築物内における感染症予防措置の必要性など、建築物に関する新たな問題も懸念されております。
 このような時期に、ビルメンテナンス業に携わる世界の人々が一堂に会され、国際的な視野に立って、専門的な知識、情報の交換など活発な討論と友好の輪を拡げられますことは、誠に意義深いものと感じております。
 最後になりましたが、本日御参集の皆様方が本大会において多くの成果を得て、世界のビルメンテナンスサービスの発展に大きく寄与することを希望するとともに、皆様方の今後ますますの御活躍を祈念いたしまして、私の祝辞といたします。
2004年9月 日本国 厚生労働大臣 坂口 力

【第15回世界ビルメンテナンス大会の概要およびプログラム】
■大会概要■
1) 開催期間 2004年9月26日~29日
2) 開催場所 カナダ・モントリオール
     (モントリオール・コンベンションセンター)     
3)大会テーマ 『A People Business-業界と人』
4)参加者数(主催者発表による大会参加登録者数)
      14カ国 394名
      (うち日本75名)
    
■大会プログラム■
【9月25日】
・19:00~ 日本代表団結団式
【9月26日】
・17:00~19:30 オープニングセレモニー
         カクテルパーティ
【9月27日】
・8:30~10:00 
日本国厚生労働大臣祝辞(代読:荒木仁司(財)ビル管理教育センター専務理事)
オープニングカンファレンス①
「チームのやる気を鼓舞する:ビジネスは人が大切」
・10:30~ コーヒーブレイク&資機材展示会オープン
・11:30~12:30 カンファレンス②
「高賃金および雇用主に関する法制度」
・14:45~17:00 モントリオール旧市街・徒歩観光
【9月28日】 
・8:30~10:00 カンファレンス③
「外観の美だけでななく:高性能洗浄への転換」
・11:00~12:00 カンファレンス④&パネルディスカッション/若手経営者による論文発表
(前回優勝者による継続調査研究成果の発表)
(2004年度ヤング・エグゼクティブ賞決勝者2名の発表)
・12:00~12:30 2004年度ヤング・エグゼクティブ賞結果発表
・19:00~ コリアン・ナイト(次回大会開催国協会主催パーティ)
【9月29日】 
・8:30~10:00 カンファレンス⑤&パネルディスカッション
「頂点を極め人生を楽しもう」
・10:30~11:30 閉会式・連盟新役員就任式
・11:30~ セントローレンス川・ランチクルーズ
・19:00~ ガーラディナー&ダンスパーティ
【10月3日】(米国・ロサンゼルス)
 日本代表団解団式

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